|
「衛生薬学4」では、疾病と健康について、公衆衛生と予防医学の観点から授業を行う。個々の人々の健康と病気は、社会全体からみるとどのような要素あるいは因子によって影響を受けているのか、また、社会は、国や自治体を含め、それらに対してどのような対策を立て、実施しているのかを考え、理解することを目的とする。そのため、まず、公衆衛生に関する基本的な知識を学び、公衆衛生が歴史的にも現在も、以下に重要な意味を持つのかを理解する。その中で、薬学が果たす役割や薬学出身者や薬剤師が活躍する分野についての理解を深める。さらに、健康の維持・増進および疾病の予防にとって、社会構造の変化や公衆衛生行政がどのような影響をもたらすのか、を総合的に考察できる能力を身につけることができることを学習目標とする。
●一般目標(GIO)
社会における集団の健康と疾病の現状及びその影響要因を把握するために、保健統計と疫学に関する基本的知識、技能、態度を習得する。
公衆衛生の向上に貢献するために、感染症、生活習慣病、職業病についての現状とその予防に関する基本的知識、技能、態度を習得する。 |
|
教科書とプリントを中心にして教材とし、毎回の講義の中で関連する内容の参考書を適宜紹介する。毎回の講義の最後に、関連する国家試験問題の過去問を「確認試験」として解く。また、講義内容に沿った参考書を指定し、これを読み、レポートを提出することによって理解を深めるようにする。
●準備学習や授業に対する心構え
復習を中心にして毎回の授業内容を確実に理解するように心がける。新聞、放送などで報道される関連記事、および講義の中で紹介するトピックスなどについて積極的に関心を持って調べ、自分の意見を常に持つように心がけることが望まれる。
●オフィス・アワー
昼休み12:20〜13:00、B棟3階生体防御学研究室 |
|
毎回の講義のあとの確認試験の結果、定期試験結果、およびレポートの内容を見て、総合的に評価する。 |
|
書名 |
著者名 |
出版社名 |
『考える衛生薬学』 |
菅野三郎 他 |
廣川書店 |
|
|
書名 |
著者名 |
出版社名 |
『国民衛生の動向』 |
厚生統計協会 (編) |
厚生統計協会 |
『労働衛生のしおり』 |
厚生労働省労働基準局 (編) |
中央労働災害防止協会 |
『衛生薬学』 |
石井秀美、杉浦隆之 他 |
朝倉書店 |
『食品衛生学』 |
菊川清見、那須正夫 (編) |
南江堂 |
|
|
回 |
項目 |
授業内容 |
1 |
公衆衛生とは |
公衆衛生が果たす役割について理解し、その意義を説明できる。 |
2 |
保健統計 |
公衆衛生にとって、保健統計のもつ意義を理解し、その具体的な指標と内容について学習する。人口統計の種類と定義・内容を説明できる。 |
3 |
疫学1 |
公衆衛生における疫学の役割を学び、疫学の3要因(病因、環境要因、宿主要因)、疫学の種類(記述疫学、分析疫学など)とその方法について説明できる。 |
4 |
疫学2 |
疫学的手法の実際について学び、要因・対照研究(コホート研究)の方法の概要を説明し、相対危険度、寄与危険度を計算できる。患者・対照研究の方法の概要を説明し、オッズ比を計算できる。さらに、医薬品の作用・副作用の調査における疫学的手法の有用性を概説できる。
疫学データを解釈する上での注意点を列挙できる。 |
5 |
健康と疾病 |
健康と疾病の概念を理解し、歴史的な観点から説明できる。疾病の予防に対し、世界保健機関(WHO)などの国際機関、国内の行政機関が果たす役割について概説できる。さらに、疾病の予防(第一次、第二次、第三次予防)の概念と、予防接種や新生児マススクリーニングの意義について説明できる。 |
6 |
感染症とその対策1 |
現代における感染症(日和見感染、院内感染、国際感染症など)の特徴について説明できる。
振興感染症及び再興感染症について代表的な例をあげて説明できる。
|
7 |
感染症とその対策2
|
一、二、三類感染症及び代表的な四、五類感染症を列挙し、分類の根拠を説明できる。 |
8 |
感染症とその対策3
|
母子感染する疾病を列挙し、その予防対策について説明できる。
性行為感染症を列挙し、その予防対策と治療について説明できる。 |
9 |
感染症とその対策4
|
予防接種法の定める定期予防接種の種類をあげ、接種時期などを説明できる。 |
10 |
生活習慣病 |
生活習慣病の種類とその動向について説明できる。また、食事や喫煙、運動など、生活習慣病の成立に関係する様々な要因やリスクを列挙し、説明できる。 |
11 |
母子保健、学校保健 |
母子保健および学校保健について、それらの意義を理解し、具体的な対策を説明できる。 |
12 |
老人保健 |
老人保健の諸問題と対策について理解し、説明できる。 |
13 |
産業保健 |
おもな職業病とその要因について理解し、それらに対する対策を説明できる。 |
|