薬用植物園 お花紹介

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アイ(タデ科) Persicaria tinctoria

東南アジア原産の一年生草本で、草丈は50〜70cm。江戸時代から明治時代中期まで盛んだった藍染は、このアイの生葉を刻み、発酵させて加工した藍玉を用いた。これは葉に含まれるindicanが加水分解および酸化をうけて青色染料のindigoとなる。また、薬用としては、果実を藍実(ランジツ)と呼び、解熱薬や解毒薬とする。

アオノリュウゼツラン(リュウゼツラン科) Agave americana

北アメリカ南西部原産。見かけ上は茎がなく、根茎から多肉質の葉を10〜25枚出し、密なロゼット状となる。英名はcentury plant(センチュリープラント)で100年に一度だけ花を咲いて枯れると言われるが、一般には10〜20年で花が咲き、根茎から出る吸芽(きゅうが)(小さい芽)が成長を続ける。写真は今年、本園で咲いたもの。民間薬として利尿薬あるいは梅毒、淋病に用いたとされる。

アカヤジオウ(ゴマノハグサ科) Rehmannia glutinosa var. purpurea

中国原産の多年生草本。一般の方には、馴染みの薄い植物であるが、漢方薬にとっては重要な植物である。薬用部位は肥大した根で、地黄(ジオウ)と呼ぶ。また、この地黄を黄酒に一夜漬け込み、蒸篭で蒸して天日で乾かす。この作業を数回繰り返して作ったものを熟地黄(ジュクジオウ)と呼ぶ。 老人性疾患による前立腺肥大や腰痛などに用いられる八味地黄丸などに配合される。

アケビ(アケビ科) Akebia quinata

日本、朝鮮半島、中国原産で山野に生える落葉つる性植物。秋には、7〜10cmの楕円形の果実が紫色に熟し、やがて縦に割ける。果肉は甘く食用とする。東北地方では、甘味のある果肉を除き、ひき肉などを詰めて炒めたり煮込んだりして果皮を食用とする。苦味があり大人の味である。薬用部位は茎で木通(モクツウ)と呼び利尿、通経、排膿薬として、消風散や当帰四逆加呉茱萸生姜湯などに配合される。成分はアケボシドなどのサポニン類。

アサガオ(ヒルガオ科) Pharbitis nill 【有毒】

熱帯アジア原産のつる性一年生草本。平安時代に中国より薬用として渡来、当時は「けんごし」と呼ばれていた。江戸時代に原種の青色花から多彩な花や変わりものが日本独特の花として育成された。薬用部位は種子で牽牛子(ケンゴシ)と呼び、強力な下剤として使用される。本園では有毒植物として取り扱っている。小さな子供が誤って種子を口にすると激しい下痢にみまわれる。成分は樹脂配糖体のファルビチン。

アシタバ(セリ科) Angelica keiskei

日本原産の大型多年生草本であるが、花をつけると枯れる。草丈は50〜120cmで葉や茎の切り口から黄色の液が出る。東海地方や紀伊半島の海岸、伊豆諸島、小笠原諸島などに分布する。和名の由来は、今日に葉を摘んでも明日には若葉が生えるくらいの生長力に由来している。自生地では、昔から食されてきたが、近年、健康野菜として有名になり、サプリメントや健康茶として広く利用される。成分は黄色汁の本体であるキサントアンゲロール、4−ヒドロキシデリシンなどで、抗HIVや抗潰瘍など多くの薬理効果が明らかにされて来ている。

アセビ(ツツジ科) Pieris japonica 【有毒】

観賞用に庭や公園に植栽される常緑低木。馬が食べるとふらつくことから馬酔木と書く。ウシやウマの皮膚寄生虫の駆除や便槽のウジ駆除に用いられた。全木に有毒成分を含む。

アマチャ(ユキノシタ科) Hydrangea serrata var.thunbergii

本州中部に分布する高さ1mぐらいの小低木。装飾花は白または淡青色で、ときに淡い紅色をおびる。形態的にヤマアジサイと区別することは難しい。薬用部位は新鮮な葉および枝先で、それらを醗酵、乾燥させたものが生薬の甘茶(アマチャ)である。矯味薬や口腔清涼剤などに用いられる。甘味成分はフィロズルチン。生葉を噛むと、はじめは苦く感じるが、次第に甘くなる。

アミガサユリ(バイモ)(ユリ科) Fritillaria verticillata var. thunbergii

中国原産の多年生草本で、地下部に鱗茎をもつ。茎は直立し、50cmぐらいになる。春に咲く花は、内側に紫色の網目模様が付いている。薬用として伝来し、現在では茶花などの園芸用としても各地で栽培される。薬用部位は鱗茎で、貝母(バイモ)と呼ばれ、熱性の咳嗽に使用される清肺湯などの漢方薬に配合される。成分はフリチラリンやペイミンなどのステロイドアルカロイドで、呼吸麻痺や嘔吐促進などの作用があるため、個人での使用は避けたい。

アメリカカンゾウ(マメ科) Glycyrrhiza lepidota

北アメリカ西部に分布する多年生草本。草丈は、40〜60cm。蝶花が淡黄色〜白色。根およびストロンを伸ばす。このアメリカカンゾウは、日本で医薬品に使用することはない。グリチルリチンを含有するという報告もあるが、その含有量はごく微量である。ノースカロライナ大学での留学時に、植物学の図書館を訪れ、文献調査するとアメリカ東海岸にも分布がみられるとの記載を見つけた。それから約1年間、常に意識していたが東海岸で本植物を見つけることはできなかった。

アメリカキササゲ(ノウゼンカズラ科) Catalpa bignonioides

北アメリカ東部原産の落葉高木で、高さは10 mを超える。明治時代に導入されたとされ、公園や学校などに植栽されているのをよく見かける。日本では、利尿薬として利用されるキササゲ (Vol. 9参照)が古い時代に中国から渡来したといわれて、日本各地で栽培され、自生も見られる。キササゲとひとまわり大きいアメリカキササゲは東アジアと北アメリカ東部に隔離分布している植物の例としてよく知られている。アメリカでも民間的に利尿薬として利用されている。

アルニカ(キク科) Arnica montana

ヨーロッパ原産の高山地帯に自生する多年生草本。草丈は20〜50cm。薬用部位は根でアルニカ根と呼ぶ、また花はアルニカ花と呼ばれる。消炎や鎮痛の目的でハップ剤として患部に外用する。ホメオパシー(ドイツ人医師のサミュエル・ハーネマンによって体系づけられた治療法)のレメディ(薬)に使用されている。全草に精油を含む。

アロエ・ベラ(ユリ科) Aloe vera

アフリカ原産の多年生多肉植物。60cmほどに生長し、黄色の花を付ける。薬用部位は葉にある透明なゼリー状の部分で傷や火傷に使用する。食用ではヨーグルトの中に混ぜられたりする。また、葉の茎部からでる黄色い汁は、緩下作用をしめす。医薬品としてのアロエはケープアロエAloe feroxの葉から出た汁を乾燥させたもので緩下薬とする。また、日本でアロエと言うと冬に赤橙色の花を付けるキダチアロエAloe arborescensを多くの人は思い浮かべるであろう。

アンズ(バラ科) Prunus armeniaca var.ansu

中央アジア原産の落葉高木。日本には果樹として伝わり、長野県や山梨県などで特に多く栽培される。その果実は生食される。またドライフルーツやジャム、果実酒に加工される。さらに、種子は杏仁豆腐の原料。薬用部位は種子で、杏仁(キョウニン)と呼び、鎮咳去痰効果を示す。麻黄湯や麻杏甘石湯などの漢方薬に配合される他、咳止め薬のキョウニン水の原料となる。含有成分は、青酸配糖体であるアミグダリン。

イカリソウ(メギ科) Epimedium grandiflorum

近畿地方以北に自生する多年生草本。草丈は30〜50cmで、花は4つの長い距を持った独特な形をしており、色はふつう紅紫色(白色の変種もある)。薬用部位は地上部で、淫羊藿(インヨウカク)と呼び、強壮・強精の作用を期待する。「年老いた山羊がこの草を食べて雌山羊と遊ぶのを見た老人が同じようにイカリソウを食べ・・・。」と言う話が残っている。滋養強壮のドリンク剤や養命酒に配合される。成分はイカリインなどのフラボノール配糖体。

イソギク(キク科) Dendranthema pacificum

日本原産の多年生草本で、千葉県から静岡県の太平洋岸の崖に自生する。草丈は30〜40cm。10〜11月に黄金色の頭花を茎頂に密集してつく。晩秋の花として観賞用に花壇などに植栽される。薬用植物園でも花の少ない時期に花の黄金色と葉表面の緑色そして葉裏面の銀白色(T字状毛が密生している)のコントラストがすばらしい。しかし、現在のところ薬用植物としての使用はない。

イヌサフラン(ユリ科) Colchicum autumnale 【有毒】

ヨーロッパ、北アフリカ原産の球根植物で、湿った草原に群生する。夏には地上部が枯れて休眠する冬緑型多年生草本。花の少なくなった時期に美しい花を咲かせるため、園芸植物として人気がある。薬用部位は種子または根で、コルヒクム子、コルヒクム根と呼び痛風鎮痛薬とされるが、毒性が強いため民間での使用は避けるべきである。成分はアルカロイドのコルヒチンで、植物染色体倍加ホルモンとして品種改良などに利用される。サフランはアヤメ科の植物であり本植物とは全く異なる。

インドジャボク(温室)(キョウチクトウ科) Rauwolfia serpentine 【有毒】

熱帯アジア原産の常緑低木で、温室では1年を通じて開花がみられる。写真は果実。和名の「印度蛇木」は、根が蛇に似ているという説と蛇に咬まれたときの薬という説がある。薬用部位の根はラウオルフィアと呼び、医薬品であるインドールアルカロイドのレセルピン(高血圧の治療薬)とアジマリン(不整脈の治療薬)の抽出原料として重要である(現在、多くの新薬が開発され両医薬品の使用頻度は減少)。

ウスバサイシン(ウマノスズクサ科) Asiasarum sieboldii

本州、九州の山間部の樹陰に自生する多年生草本。花期は3〜5月。無花弁で暗紫色のつぼ状花を付ける。薬用部位は根で細辛(サイシン)と呼び、小青竜湯や麻黄附子細辛湯などの漢方薬に配合される。成分はメチルオイゲノールなどの精油成分。地上部には腎毒性を有するアリストロキア酸が含まれるため、生薬の細辛には地上部が混入していないことを確認する。また、個体数が減少しているギフチョウの幼虫の食草でもある。

ウツボグサ(シソ科) Prunella vulgaris var.lilacina

日本全土の日当たりの良い草地に自生する多年生草本。草丈は20〜30cmで5〜6月にかけて紫色の唇形花を付ける(白花もある)。薬用部位は花穂で、夏枯草(カゴソウ)と呼び、主に民間薬として利尿や消炎の目的で利用される。夏には花穂が茶色変わり始め、この時期に摘み取り天日干しにする。夏枯草は夏に枯れたように見える草という意味。成分はタンニン類。その他、多量の塩化カリウムを含む。

ウメ(バラ科) Prunus mume

中国原産の落葉小高木。多くの園芸種が各地に植栽されている。薬用としては、未熟な果実のくん製を烏梅(ウバイ)と呼び、解熱、鎮咳、去痰、止瀉薬とする。私達には、食用として生の未熟果を紫蘇と一緒に漬けた梅干が、まず頭に浮かぶであろう。昔から体調不良時に食されるなど薬用としての効果も期待してきた。梅酒も非常に美味しく、日本の食生活に深くとけこんでいる。クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などを多く含む。

ウラルカンゾウ(マメ科) Glycyrrhiza uralensis

中国東北部からモンゴルなどに自生する多年生草本。草丈は50〜90cm。根は地下水を求め、地中深くまで伸ばす。また、地中浅く水平にストロン(走出茎)を四方に伸ばしひろがる。薬用部位は根およびストロンで、甘草(カンゾウ)と呼び、数多くある漢方薬の7割以上の処方に配合される重要生薬である。近年、自生地の乱獲のため、中国政府が輸出制限しており、レアープラントとも呼ばれている。主成分はグリチルリチンで、ショ糖の約150倍の甘味を有する。

エビスグサ(マメ科) Cassia obtusifolia

南米原産の一年生草本。アメリカより熱帯アジアに伝わり、江戸時代中期に中国南部からわが国に渡来した。現在では、東南アジアで広く栽培され、日本でも栽培される。薬用部位は種子で決明子(ケツメイシ)と呼び、緩下、利尿、強壮薬とする。昔のハブ茶は、中国南部原産のハブソウ(Cassia torosa)の種子であったが、現在はエビスグサの種子である。成分はアントラキノン類。

オオボウシバナ(ツユクサ科) Commelina communis var.hortensis

ツユクサの変種で、花の青色を友禅染の下絵の染料として利用する。滋賀県草津市だけで栽培されている。ツユクサと比較して、その草丈や花の大きさは3倍から5倍。ツユクサは全草を鴨跖草(オウセキソウ)と呼び、利尿薬や風邪の解熱薬として利用される。最近、デオキシノジリマイシンという成分が単離され、糖尿病予防作用(糖質吸収阻害作用)が注目されている。

オカゼリ(セリ科) Cnidium monnieri

中国の中部や北部原産の多年草。成熟果実を蛇床子(ジャショウシ)と呼び、疥癬などの皮膚病薬とする。皮膚の掻痒などに外用される漢方薬の蛇床子湯(蛇床子、当帰、威霊仙、苦参)などに配合される。成分は、オストールやインペラトリンなどを多量に含む。一方、道端で良く見かけるヤブジラミ Torilis japonica の果実は和蛇床子と呼ばれ、蛇床子の代用として用いられた。

オキナグサ(キンポウゲ科) Pulsatilla cernua 【有毒】

園芸愛好家に人気のある植物。草丈は10〜30cm。絶滅危惧種にも指定されている。根を解熱など目的に薬用とする。しかし、全草に皮膚や粘膜の刺激、強心作用を示す成分を含むため、民間療法的に用いるのは危険である。

オケラ(キク科) Atractylodes japonica

日本、朝鮮半島、中国東北部原産の多年生草本で、草丈は30〜60cm。9〜10月に枝の頂に白色または紅色の頭花を付ける。薬用部位は根茎で白朮(ビャクジュツ)と呼び、独特の香りを有する生薬で利尿作用や健胃作用がある。漢方薬には、水毒を除く生薬として五苓散などに配合される。また、正月に無病息災を祈って飲まれる屠蘇散の主薬でもある。京都の八坂神社の「おけら参り(朮祭)」は、かがり火にオケラが加えられる。香りの成分は精油のアトラクチロン。

オトギリソウ(オトギリソウ科) Hypericum erectum

日本各地の山地や丘陵地に自生する多年生草本で、草丈は50〜60cm。葉に黒い油点がある。また、がく片や花弁にも多数の黒点があり、特に縁に多い。古くから全草のしぼり汁を傷薬として利用してきた。成分はタンニンを多く含み、外用薬としては効果があり、安全性も高い。一方、ヨーロッパに分布するセイヨウオトギリソウ H. perforatum(英名:St John's Wort)は、うつ状態や不眠の改善のためのサプリメントとして利用される(ドイツでは医薬品)が、ワーファリンなどの医薬品の効果を低減する薬物相互作用が問題となっており注意が必要である。

オニユリ(ユリ科) Lilium lancifolium

東アジア原産とされるがよく分かっていない。多年生草本で、地下部に鱗茎をもつ。世界中で栽培されている食用ユリだが、食するのは日本、中国、韓国だけである。薬用部位は鱗茎で、百合(ビャクゴウ)と呼び鎮咳去痰作用や精神安定作用を期待し、辛夷清肺湯などの漢方薬に配合される。ハカタユリ、ヤマユリ、ササユリも同様に薬用として使用される。

オミナエシ(オミナエシ科) Patrinia scabiosaefolia

東アジア原産の多年生草本で草丈は60〜100cm。秋の七草の一つで、8から10月に黄色の小さい花を散房状の集散花序につける。薬用部位は根で、敗醤根(ハイショウコン)と呼び、漢方では鎮静、消炎、利尿、排膿薬とする。また、全草を敗醤草と呼ぶ。含有成分はサポニンのスカビオサイドや精油のパトネリンなどが知られている。

カガミグサ(ブドウ科) Ampelopsis japonica

中国原産のつる性植物。江戸時代に中国から渡来した。ノブドウの仲間。6月には多数の淡黄色の小さな花を付け、果実は球形で、青や赤紫、白色と色の変化に富む。地下の肥大した根を白蘞(ビャクレン)と呼び、中国では清熱解毒薬として用いられる。学名のjaponicaは日本原産を意味するが、命名者のツンベルク(1775年に来日し、最初の日本植物誌の著した)が本植物を日本原産と考えてしまったため。

カキ(カキノキ科) Diospyros kaki

中国原産の落葉高木で、本州や四国、九州に果樹として植栽されている。東北大学から大阪薬大に赴任した前園長が、沢山の実を付けたカキの木を見て興奮されていたことを思い出す(関西では普通の光景だが)。薬用部位は蔕(へた)で、柿蒂(シテイ)と呼び、しゃっくり止めの特効薬である。実を食べる時に集め、天日干しにする。約3個の柿蒂を水150mlで煎じて温服する。高血圧には乾燥若葉をお茶代わりに飲むと良い。その他、多くの民間療法が伝えられている。

カキドオシ(シソ科) Glechoma hederacea subsp. grandis

日本、東アジア、シベリア原産の多年生草本。花期には茎は立っているが、その後はつる状に地上を這いながら伸び、「垣根を通す」が和名の由来。よく似た近縁の亜種がヨーロッパとアメリカに分布する。また、全草に芳香を有する。薬用部位は、花期の地上部で、連銭草(レンセンソウ)、積雪草(セキセツソウ)と呼び、虚弱児、糖尿病、胆石症などに対して健康茶として用いられる。

カラエンゴサク(ケシ科) Corydalis turtschaninovii f. yanhusuo

中国各地で栽培される多年生草本で、草丈は10〜20cm。薬用部位は塊根で、延胡索(エンゴサク)と呼び、鎮痛薬として腹痛や生理痛などに用いられる。市販されている○○漢方胃腸薬は、漢方処方の安中散である。延胡索は安中散の主薬となっている。成分は、デヒドロコリダリンなどのアルカロイド。また、日本国内には、ジロボウエンゴサクやヤマエンゴサクなどが分布しているが、生薬の延胡索としては使用されない。

カラシナ(アブラナ科) Brassica juncea

アブラナとクロガラシが自然交配したもので、中近東や中央アジアが起源地とされる。秋に種を播き、翌年の春に開花する越年生草本。草丈は1.5mほどになる。生育力も旺盛で、河川敷などで見かける黄色い花は、カラシナであることが多い。薬用部位は種子で芥子(ガイシ)と呼び、咳止めや痛み止めとする。また香辛料(からし)として世界で使用される。成分はシニグリンなど。 ヨーロッパではシロガラシSinapis albaからマスタードをとる。

カラタチ(ミカン科) Cleodendrum trichotomum

中国原産の甘橘類。甘橘類の中で、最も耐寒性が強く、東北地方まで分布している。果実には、油分が多く、酸味や苦味が強いため食用にはならない。私も食したことがあるが、油分が口の周りに付き、種も多かったことを記憶している。薬用では、未熟な果実を枳実(キジツ)と呼び、多くの漢方薬に配合される。ただし、枳実の基原植物には、ダイダイの未熟果実も使用される。

カリン(バラ科) Chaenomeles sinensis

カゼを引くと葛湯や生姜湯で身体を温めたように、咳には、カリン酒やカリンの砂糖漬けと古くから民間的に使用されている。その黄色い果実は、だれもが知っているであろう。花も可憐で美しい。カリンは、バラ科の落葉高木。薬用部位は果実で、木瓜(モッカ)とよび、鎮痙、鎮咳、利尿薬とされる。ボケやクサボケの果実も木瓜と呼び、同様に使われる。

カロライナジャスミン(温室)(マチン科) Gelsemium sempervirens 【有毒】

北アメリカ原産。観賞用として、蔓性を利用して垣根などに植栽されている。花は綺麗で、香りも良く人気があるが、ジャスミンとは全く別の植物である。花を含めて、全草に猛毒のアルカロイドを含む。絶対にハーブティーなどとして用いてはならない。

カワラナデシコ(ナデシコ科) Dianthus superbus var. longicalycinus

本州、四国、九州に分布する多年生草本で、草丈は30〜100cmぐらいになる。5弁の花弁のふちは深く糸状に分裂する。秋の七草のひとつ。別名は大和撫子(やまとなでしこ)で外来種(セキチク:唐撫子)と区別した。また、「可憐で美しい日本女性」に譬えられ、最近では、女子サッカーの「なでしこジャパン」の活躍でこの花の名前をよく耳にする。薬用部位は種子で、瞿麦子(クバクシ)と呼び、消炎利尿や通経薬として用いる。一方、中国では開花時の全草を用いる。成分はトリテルペン系サポニンを多く含む。

カンサイタンポポ(キク科) Taraxacum japonicum

主に西日本各地の草地やあぜ道などに自生する多年生草本。セイヨウタンポポに比べて頭花が小さく、舌状花の数が少ない。また、総苞外片は上向きで反り返っていない。薬用部位は全草で蒲公英(ボコウエイ)と呼び、清熱解毒薬とされ、化膿性疾患や乳腺炎などに利用される。収穫は開花前。日本では根のみを乾燥させた蒲公英根(ボコウエイコン)が流通している。

ガマ(ガマ科) Typha latifolia

北半球の温帯に広く分布する多年生草本で、日本では各地の浅い水中に生える。花期の草丈は150〜200cmぐらいになる。写真のソーセージ状のものが雌花穂で、その上部に雄花穂がある。薬用部位は花粉で、蒲黄(ホオウ)と呼び外用して止血薬とする。「古事記」の中の「因幡の白兎」では、大国主命が白兎にガマの花粉を傷口につけ、穂綿にくるまるように言う。ガマの仲間には、ガマ、コガマ、ヒメガマがあり、ヒメガマは雌花穂と雄花穂が離れているのが特徴。

キキョウ(キキョウ科) Platycodon grandiflorum

日本全土の日当たりの良い山野の草原に自生する多年生草本。草丈は40〜100cm。5枚の花弁が合着した広鐘形。蕾は花冠の先で閉じられ、風船玉状になる(英名は、balloon flower)。秋の七草のひとつ(「あさがお」と詠まれている)。薬用部位は根で桔梗(または桔梗根)と呼び、痰きりの妙薬で、去痰薬として利用される。一方、排膿薬として、桔梗湯や小柴胡加桔梗石膏などの漢方薬に配合される。含有成分はプラチコジン類のトリテルペン系サポニン。また、根の貯蔵成分はデンプンではなくイヌリン。

キク(キク科) Chrysanthemum morifolium (Dendranthema morifolium)

中国原産の多年生草本。薬用部位は頭花(キクの花は一輪の大きな花ではなく、小花が多数集まったもの。これらの小花をまとめて頭花と呼ぶ)で、菊花(キクカ)と呼び清熱薬とし釣藤散などの漢方薬に配合する。菊花茶としても流通しており、夏の暑い日に爽やかな味のお茶はおいしいだけでなく、体の余分な熱を取ってくれる。成分はボルネオールなどの精油とルテオリンなどのフラボノイド。

キクイモ(キク科) Helianthus tuberosus

北アメリカ原産の多年生草本。草丈は2m程になり、よく分枝する。薬用には使用しないが、幕末にイギリス経由で導入され、塊茎を食料として栽培された。塊茎はイヌリンという果糖の多糖体を多く含んでおり、デンプンを主とするイモ類とは食感がことなる。長時間煮ても、シャキシャキ感がある。イヌリンは消化されないため、その他の糖類の吸収を穏やかにし、糖尿病患者の食材として応用されている。

キクタニギク(キク科) Dendranthema boreale

日本、朝鮮半島原産の多年生草本で、茎は直立して60〜100cm。黄金色の頭花が泡のように密集していることからアワコガネギクの別名がある。キクタニは京都・東山の菊谷という地名だが、西は九州北部、北は岩手まで分布する。花を油に漬けて、火傷や切り傷に用いたことから油菊の別名もある。この別名はシマカンギク(Dendranthema indicum)にも使われる。

キクニガナ(キク科) Cichorium intybus

ヨーロッパ原産の二年生草本で草丈は120cmぐらいになる。青い花はサラダなどのつけあわせなどにされる他、小さな白菜のように栽培されたものはチコリーと呼び、野菜として食される。苦味とほのかな香りを楽しむことができる。また、根を焙煎しコーヒーの代用とされる。肝臓疾患や糖尿病などに応用され、抗炎症作用も報告されている。鉄分や亜鉛などのミネラル分も豊富に含み、コカコーラから販売されている爽健美茶にも配合されている。

キササゲ(ノウゼンカズラ科) Catalpa ovata

中国原産の落葉高木で大きなものでは高さ10mにもなる。7月頃にロート型の大きな淡黄色の花を咲かせる(斑点は暗紫色)。秋にはマメ科のササゲに似た細長い果実をつける(写真)。ほとんどの木が落葉した時期に植物園で空を見上げるとキササゲの果実がよく目立つ。薬用部位は果実でキササゲと呼び(梓実(シジツ)とも言う)、利尿薬などに利用する代表的な民間薬。含有成分はイリドイド配糖体のカタルポシド。

キンセンカ(キク科) Calendula officinalis

地中海沿岸原産の一年生または越年生草本で世界中の温暖な気候帯で栽培されている。草丈は15〜50cmでよく分枝する。薬用部位は頭花で、金錢花(キンセンカ)と呼び、利尿薬や通経薬とされる。また、西洋では、マリーゴールドと呼ばれ、抗炎症や解毒作用、収斂作用など万能な薬草として有名である。明るいオレンジ色をしたものが良品とされる。成分は、ウルソール酸などのトリテルペンを多量に含む。

キンミズヒキ(バラ科) Agrimonia pilosa

東アジア原産の多年生草本で草丈は50〜150cm。薬用部位は全草で、龍牙草(リュウガソウ)または仙鶴草(センカクソウ)と呼び、止血や止瀉薬とする。口内炎や歯茎の出血は冷めた煎じ液でうがいをする。また、湿疹やかぶれには煎じ液を冷湿布する。成分は高含量のタンニン類で、その他アグリモノリド(ジヒドロイソクマリン)、タキシフォリン(フラボノイド)など。和名の由来は花穂がタデ科のミズヒキに似ており、花が黄色であることによる。

クガイソウ(ゴマノハグサ科) Veronicastrum sibiricum

本州の山地に分布する多年生草本で、草丈は約1 mになる。名前は九階草で、輪生した葉が茎に層をなしている様子に由来する。薬用部位は根茎で、民間的に利尿や消炎作用を期待して、リウマチや関節炎に用いられる。成分は、イリドイド系化合物やイソフェルラ酸の糖エステルなど。

クサノオウ(ケシ科) Chelidonium majus var.asiaticum 【有毒】

茎や花を傷つけると黄色い汁がでる。皮膚病に効くとされ、民間で使用されるが、全草に有毒なアルカロイドを含むため、絶対に口にしてはならない。

クサボケ(バラ科) Chaenomeles japonica

本州、四国、九州の日当たりの良い草原や丘陵地に自生する落葉小低木。春に、朱色の3 cm程度の5弁の花をつける。本園に植栽しているクサボケは、花の色が淡黄色で果実も小型である。薬用部位は果実で、和木瓜(ワモッカ)と呼び、木瓜(Vol. 2のカリンを参照)の代用品とされる。リンゴ酸などを含み果実酒などにも利用される。

クズ(マメ科) Pueraria lobata

日本各地の平野〜山地に自生するつる性多年生草本。根には良質のデンプンを多量に含み葛餅などこのデンプンを使った食品も数多くある。吉野葛は特に有名。また、秋の七草の一つ。薬用部位は根で葛根(カッコン)と呼び、カゼの初期に用いられる漢方薬の葛根湯に配合されている。また、花は葛花(カッカ)と呼び、酒毒を消すと言われて二日酔いなどに用いられる。含有成分はイソフラボンのプエラリンなど。

クチナシ(アカネ科) Gardenia jasminoides

中国および日本原産の常緑低木で、静岡県以西の山地に自生する。夏には、香りの良い6弁の白い花を開く。薬用部位は、果実で、山梔子(サンシシ)と呼ばれ、解熱、消炎、止血の目的で黄連解毒湯や茵陳蒿湯などに配合される。また、黄色の染料にも利用され、栗きんとんなどに使われる。園芸品種も多数あり、公園などによく植栽されている八重咲きの品種では、花は見事であるが果実を付けない。

クミスクチン(温室)(シソ科) Orthosiphon stamineus

東南アジア、オーストラリア原産で、下部が木質化する低木状の多年草である。マレー名がそのまま和名として用いられている。薬用部位は、葉でインドネシアの有名な民間薬。腎炎、水腫、尿路結石などに用いられる。また、利尿効果を期待して茶剤に利用される。 葉には苦味成分のオルソシフォニンの他、サポニンやカリウム塩なども多く含有する。

クリスマスローズ(キンポウゲ科) Helleborus niger 【有毒】

ヨーロッパ原産で、観賞用として広く植栽されている。しかし、全草に強心作用を示す成分を含むので、絶対に口にしてはならない。

クリンソウ(サクラソウ科) Primula japonica

日本原産の多年生草本。日本産のサクラソウの中で、一番大きく、女王と称される。花は下の方から段になって次々と咲き、その姿が五重塔などの九輪に似ていることが和名の由来。四国、本州以北の高原の湿地に群生する。薬用部位は全草で、九輪草(クリンソウ)と呼び、鎮咳、去痰を目的に使用される。

クロバナヒキオコシ(シソ科) Isodon trichocarpa

日当たりの良い山地に生える日本原産の多年生草本。草丈は50〜150cm。茎の先にまばらな集散花序をつける。花冠は濃紫色。薬用部位は開花時の全草で、延命草(エンメイソウ)と呼び、健胃薬として用いられる(ヒキオコシ Isodon japonicaも同様に使用される)。昔、弘法大師が腹痛で倒れている人にこの植物の汁を飲ませたたら、起き上がり旅を続けたことから和名が付けられた。しかし、あまりにもの苦さに驚いたのかもしれない・・・。成分は、苦味成分のエンメイン。

クロモジ(クスノキ科) Lindera umbellata

本州、四国、九州に分布する落葉低木で、高さは2〜3m。雌雄異株。枝や葉は、よい香りがする。薬用部位は根皮で、釣樟(チョウショウ)と呼び、煎液を湿疹などに外用する。幹や枝は烏樟(ウショウ)と呼ばれ養命酒に配合されている。枝葉の精油(クロモジ油)は、リナロールやゲラニオール、シネオールなどを含み、芳香料や皮膚病に用いられる。また、楊枝の材となり、噛むと香りが漂い、消化を助ける作用がある。

ゲンノショウコ(フウロソウ科) Geranium thunbergii

日本全土に分布する多年生草本。ミコシグサ、ネコアシグサ、イシャナカセなど多くの別名がある。和名の語源が「現の証拠」であることはよく知られており、下痢止めとして、その効果のシャープさを示している。薬用部位は、開花期の地上部で、下痢止めの代表的な民間薬。他の止瀉薬と比べ、便秘になりにくい。成分はタンニン類およびフラボノイド。赤花の株と白花の株があるが薬効に違いはない。下痢にはよく煎じ、便秘にはあまり長く煎じずに用いるとよい。

コウホネ(スイレン科) Nuphar japonicum

日本、朝鮮半島原産で、浅い池や沼に生育する多年生水草。コウホネの名は、白色の細長い根茎が骨のように見えることから、「河骨」の意味でつけられた。薬用部位は根茎で、川骨(センコツ)と呼び、解熱鎮痛消炎薬とみなされる漢方薬や婦人用薬に配合される。成分はヌファリジンと呼ばれるアルカロイドを含む。民間薬としても古くから知られており、月経不順などで気分がすぐれない時に煎じて服用された。

コガネバナ(シソ科) Scutellaria baicalensis

中国北部からシベリア原産の多年生草本。草丈は20〜60cm。和名からは黄金色の花を連想させるが、実際は紫色で、根の内部が黄色。薬用部位は根で、黄芩(オウゴン)と呼び、消炎解熱作用を期待し、三黄瀉心湯や小柴胡湯、黄連解毒湯など多くの漢方薬に配合される。成分はバイカリンなどのフラボノイド。近年、抗アレルギー作用があることがわかり、その作用はバイカリンとされている。

コショウ(温室)(コショウ科) Piper nigrum

東南アジア原産のつる性常緑木本植物で、茎は10mほどにもなり、節ごとに根を出し、他のものに巻きつく。雌雄異株。薬用部位は果実で、未成熟果実を日干しにしたのが黒胡椒、成熟果実の果皮を取り去って陰干ししたのが白胡椒。胃腸を刺激してぜん動運動を活発にする。一般に、薬用とするより香辛料として用いられる。辛味成分はピペリン。

コセリバオウレン(キンポウゲ科) Coptis japonica var.major

日本原産の多年生草本。オウレン Coptis japonicaの変種で、この他に、セリバオウレン、キクバオウレンが知られ、これらが主に国内栽培されるが、現在、生産量は激減している。薬用部位は根茎で、黄連(オウレン)と呼び、漢方では清熱薬として黄連解毒湯や三黄瀉心湯などに配合される。また、古くから民間的に下痢止めや整腸薬として用いる。成分はアルカロイドのベルベリンで、味は非常に苦い。中国産の黄連は、主にC. chinensisを基原とする。

コブシ(モクレン科) Magnolia kobus

シデコブシやキタコブシも含めて、日本原産の落葉高木。春先、山野を歩くと大きな白い花をいっぱい付けた高木を目にするであろう。コブシの名前の由来はその果実(袋果)が握り拳(こぶし)に似ているため。薬用部位は、開花直前の蕾で、辛夷(シンイ)と呼び、消炎を目的に鼻疾患などに用いられる。漢方薬では、辛夷清肺湯などに配合される。

ゴシュユ(ミカン科) Euodia ruticarpa

東部ヒマラヤから中国が原産の落葉小高木で大きなものでは高さ10mにもなる。薬用部位は未熟果で呉茱萸(ゴシュユ)と呼び、冷え症に対する薬として呉茱萸湯や当帰四逆加呉茱萸生姜湯などに配合される。日本には18世紀に渡来し、和名をニセゴシュユと呼ぶことがあるが、本植物が正規品とされる。また、呉茱萸とは呉の地(現在の江蘇省)から産出される茱萸が良品であったため。香りが強く、味は大変辛い。成分はアルカロイドのエボジアミン。もう一つの基原植物であるホンゴシュユはEuodia officinalis。

ゴボウ(キク科) Arctium lappa

ヨーロッパ原産の二年生または短命な多年生草本。日本では代表的な根菜の一つ。ヨーロッパや北アメリカでは厄介な雑草と認識されている。しかし、英名はバードックであるが、2007年にアメリカへ留学した際、現地のスーパーの野菜売り場では、ゴボウルートという名で売られていたのには驚いた。現地の人は、このアクの強い野菜をどのように料理しているのだろう?薬用部位は、果実で、牛蒡子(ゴボウシ)と呼ばれ、柴胡清肝湯や消風散などの漢方薬に配合される。民間的に母乳の促進などに使われるようだが効果は不明。

ゴマ(ゴマ科) Sesamum indicum

インド〜アフリカ北部原産の一年生草本。草丈は1〜2m。ゴマは最古の油料作物である。ゴマ属は38種がアフリカ大陸を中心に分布するが、本種のみ栽培される。栽培品種は約3000あるといわれる。薬用部位は種子で胡麻(ゴマ)と呼び、消風散などの漢方薬に配合される他、胡麻油は紫雲膏(華岡青洲が創製した漢方薬)に使用されている。ゴマは種子の色により、黒ゴマ、白ゴマ、黄ゴマなどに分けられるが、黒ゴマの薬効が高く、薬用には黒ゴマが用いられる。成分はセサミンで血圧降下作用などが知られている。

サネカズラ(別名 ビナンカズラ)(マツブサ科) Kadsura japonica

日本、朝鮮半島、中国原産の常緑つる性木本。赤い球形の果実が美しい(写真)ことから生け垣などにも利用される。茎に含まれる粘液を整髪料として用いたことから美男葛(ビナンカズラ)の別名がある。薬用部位は果実で南五味子(ナンゴミシ)と言うが、チョウセンゴミシSchisandra chinensisを基原とする五味子の代用にはならない。民間薬として、滋養強壮や鎮咳などに用いられる。

サフラン(アヤメ科) Crocus sativus

地中海沿岸、中東原産の多年生球根植物。10〜11月に淡紫色の6弁花を咲かせ、黄色の3本のおしべと柱頭が3つに分枝した橙赤色の1本のめしべが美しい。薬用部位は柱頭でサフランと呼び、中将湯や実母散などの婦人薬に配合される。その他、食品としても使用される。サフランライスやパエリアなどの黄色はサフランの含有成分であるクロシン。日本では大分県竹田市で栽培される。

サラシナショウマ(キンポウゲ科) Cimicifuga simplex

日本、朝鮮半島、中国原産の多年生草本で大きいものでは草丈が1.5mにもなる。花が少なくなる10月後半からブラシ様の白色穂状花が咲く。近畿地方では伊吹山に群生が見られる。薬用部位は根茎で升麻(ショウマ)と呼び、消炎、解熱、止血などを目的に補中益気湯や乙字湯などの重要漢方薬に配合される。また、女性の更年期諸症状を軽減する目的で人気のある西洋ハーブのブラックコホシュは北米原産のアメリカショウマCimicifuga racemosaの根茎である。

サンギナリア(ケシ科) Sanguinaria canadensis 【有毒】

北アメリカ東部原産の多年生草本。本園は八重咲きの種類を植栽しているが、本来は一重咲きである。この植物の根茎を切ると血のような赤い汁が出ることから、英名はブラッドルート(bloodroot)と呼ばれる。アメリカでは少量を去痰薬として使用したが、量を誤ると嘔吐などの激しい症状がでる。成分はイソキノリンアルカロイドを含む。最近の報告では、皮膚がんなどに対する効果が発表されている。

サンシキスミレ(スミレ科) Viola tricolor

ヨーロッパ〜アジア西部原産の一年生から多年生草本で、草丈は15〜25 cm。花は三色から成り、それぞれの色は変異が多い。薬用部位は地上部で、気管支炎やリウマチの治療を目的にヨーロッパなどで民間的に利用される。成分はフラボノイドのビオランチンやルチンの他、サポニンなども含有する。

サンシチソウ(キク科) Gynura japonica

原産地が不明。草丈が1m程の多年生草本。独特の香りがある。生の葉をキズなどの止血薬として利用される。この植物の仲間に、伝統野菜として有名な熊本の「水前寺菜(スイゼンジナ)」や石川の「金時草(キンジソウ)」がある。どちらの植物も同一で、学名はGynura bicolor.葉の裏が紫色をしており、独特の風味があり、茹でるとぬめりがある。富山行きの雷鳥の車窓からは金時草の畑を見ることができる。

サンシュユ(ミズキ科) Cornus officinalis

中国、朝鮮半島を原産とする落葉小高木で、樹高は約4mになる。庭木としても多く植栽されており、3〜4月に小さな黄色の花が枝の先に20〜30個ほど集まって付く。また、秋には美しく赤色に熟した果実を多数付ける。この果実は鳥が食べないため(他に食べる実が無くなれば食べる)冬まで楽しめる。薬用部位は果実で、山茱萸(サンシュユ)と呼び、八味地黄丸などの漢方薬に配合される。リンゴ酸や没食子酸などの有機酸を多く含む。

ザクロ(ザクロ科) Punica granatum

西南アジア原産の落葉小高木または低木。果実が橙赤色に熟し、厚い外果皮が裂けると赤い液果が見える。このルビー色の美しい肉質の皮に包まれた種子は甘酸っぱくておいしい。最近は女性ホルモン様作用が注目され、食品としての商品をよく見かける。薬用部位としては、樹皮、根皮、果皮を石榴皮(ザクロヒ)と呼び条虫などの腸内寄生虫の駆除薬として用いられた。成分はアルカロイドのペレチエリンの他、多量のタンニンを含有する。

シキミ(シキミ科) Illicium anisatum 【有毒】

全木に芳香がある。有毒成分は果実に多く含まれるが、全木に含有されている。この果実を大茴香(ダイウイキョウ)や八角、スター・アニス(これらはトウシキミの果実である)と間違い、中毒を起こしてしまう事件がある。トウシキミは日本に自生していないことを覚えておいてほしい。

シソ(シソ科) Perilla frutescens var.acuta

中国南西部原産の一年生草本。草丈は、30〜50 cm。秋に長さ10 cmほどの花穂に赤紫色の小さな花をつける。ペリルアルデヒドという精油を含み、全草に独特の香りを有する。この精油は花の萼に多く含まれ、刺し身のつまに利用されている。薬用部位は葉および枝先で、蘇葉(ソヨウ)と呼び、香蘇散や半夏厚朴湯などの漢方薬に配合される。アオジソは薬用には用いられない。

シナマオウ(マオウ科) Ephedra sinica

中国北部原産の常緑小低木で、高さは、30〜70 cm。半砂漠地帯に自生し、乾燥に耐えるため葉は退化しており、細長い茎だけに見える。雌雄異株で夏には赤い果実(マオウ科は裸子植物で、正しくは種子と赤い肉質の苞葉)が写真のようにたくさん実り、味は甘い。薬用部位は地上茎で麻黄(マオウ)と呼び、葛根湯や小青竜湯などの漢方薬配合される重要生薬である。本植物の乱獲により砂漠化が問題となり、中国は輸出を規制している。含有成分はエフェドリン。

シナマンサク(マンサク科) Hamamelis mollis

中国原産の落葉小高木。日本には、マンサク Hamamelis japonica が分布している。シナマンサクはマンサクに比べて、葉が大きい。両植物ともに、タンニン成分を多く含み、煎液を収れんや止血などの目的に使用された。北アメリカにもアメリカマンサク(ハマメリス) H. virginianaが分布しており、ネイティブアメリカンも薬用茶として使用した。また、ハマメリス水として化粧水にする。

シャクヤク(ボタン科) Paeonia lactiflora

中国東北部原産の多年生草本。日本へは、平安時代に渡来したとされる。その美しい大輪の花は、美人の形容にも使われる(立てばシャクヤク・・・)。赤、白、赤紫と品種も多く、一重(原種)も八重咲きもある。薬用部位は根で、芍薬(シャクヤク)と呼び、鎮痙、鎮痛などの目的で、多くの漢方薬に配合される。こむら返りなどに用いる芍薬甘草湯や婦人の不定愁訴に用いられる当帰芍薬散などは特に有名である。

ショウブ(ショウブ科) Acorus calamus

日本各地の沼や沢のほとりに自生する多年生草本で、根茎が発達し、太くて節が多い。強い匂いが邪気を払うと考えられ、端午の節句には無病息災のために使われたり、お風呂に入れて薬湯にしたりと、古くから日本の民間で様々なかたちで利用されてきた。薬用部位は、根茎で菖蒲根(ショウブコン)と呼び、健胃薬とする。また、神経痛やリウマチの入浴料として使われる。さらに、葉も入浴料として利用される。成分はオイゲノールなどの精油を含む。一方、ハナショウブとよく混同されるが、ハナショウブはアヤメ科の植物で芳香も無い。

シラン(ラン科) Blettia striata

関東地方以西の湿地や岩場などに自生している多年生草本。ランの仲間では最も栽培しやすい。日当たりも気にせず、観賞用として庭先に植栽できるので人気が高い。薬用部位は塊茎で、白芨(ビャッキュウ)と呼び、止血薬として使用される。日本の漢方薬では使用されないが、中医薬には枇杷葉などと配合される白キュウ枇杷丸などがある。また、あかぎれなどの傷に、単味の粉末を外用する。多くの粘液質を含む。研究室の学生が、このシランに興味を持ち、研究を始めようとしている。成果が出れば紹介したい。

シロバナムシヨケギク(キク科) Chrysanthemum cinerariaefolium

バルカン半島のダルマチア地方原産の多年生草本。蚊とり線香でおなじみの植物で、日本では1887年に栽培が始まり、戦前は世界一の生産国となり、その9割を輸出していた。薬用部位は頭花で、除虫菊花(ジョチュウギクカ)と呼び、殺虫剤とする。茎葉は蚊取線香の原料。有効成分は、ピレトリンで昆虫に対して麻痺を起こさせ、運動不能にさせる。人に対しては無害。

スイセン(ヒガンバナ科) Narcissu sp. 【有毒】

地中海沿岸原産で、観賞用に植栽されている。乳腺炎などに用いられるが、全草とくに鱗茎(球根)に有毒なアルカロイドを含む。ニラとの誤食による中毒事件の報告がある。

スペインカンゾウ(マメ科) Glycyrrhiza glabra

中国〜中東、ロシア、地中海沿岸までユーラシア大陸に広く分布する多年生草本。草丈は、80〜140cm。ウラルカンゾウより、ストロンをよく伸ばす。薬用部位は、根およびストロンで、甘草と呼ぶ。ウラルカンゾウは主に漢方薬に使用されるが、スペインカンゾウは、カゼ薬や胃腸薬などの医薬品に配合される他、医薬部外品、食品添加物、グリチルリチン抽出原料などに使われる。

スペインカンゾウ(ロシア系統)(マメ科) Glycyrrhiza glabra

スペインカンゾウは、その分布の広さから、多くの変種がみられ、学名の混乱も見られる。本系統は、池田糖化(株)がロシアより輸入した甘草に混入していた莢果の種子を植栽したものである。葉の形態や穂状花序の長さや蝶花の色が上記のスペインカンゾウと異なる。ロシアカンゾウとも呼ばれる。

センキュウ(セリ科) Cnidium officinale

江戸時代に中国から伝わり、日本各地で栽培されている多年生草本。草丈は、30〜60 cm。開花はするが、結実しないため、根茎の一部を植えて増殖させる。セリ科植物は果実の形態で分類されることが多く、果実のできない本種の分類ははっきりしない。薬用部位は根茎で、川芎(センキュウ)と呼び、当帰と同様に婦人科疾患などに用いられる漢方薬に配合される。中国で用いられる川芎はLigusticum chuanxiongの根茎で、日本で使用されているものとは別の植物である。

センダン(センダン科) Melia azedarach var.subtripinnata

伊豆半島以西に分布しており、西日本では、庭木や街路樹としてよく見かける落葉高木。自生のものは直径1m、樹高30mを超えるものもある。5〜6月にかけて葉腋から円錐花序を出し、直径約2cmの淡紫色の花を多数付ける。また、秋には長さ1.5cmの楕円形の石果が黄色く熟す。薬用部位は、樹皮あるいは根皮で苦楝皮(クレンピ)と呼び、回虫駆除に用いられる。川楝子(センレンシ)はトウセンダンの成熟果実を用いる。トウセンダンvar. toosendanは中国原産で、小葉、果実ともにセンダンに比べて大きい。

センニンソウ(キンポウゲ科) Clematis terniflora

日本、朝鮮半島、中国など東アジア原産のつる性多年生草本、全草、特に葉や茎の生汁が皮膚につくと含有成分のプロトアネモニンにより、発赤や水疱を起こす。薬用部位は根および根茎で和威霊仙(ワイレイセン)と呼び、二朮湯や蛇床子湯などの漢方薬に配合される威霊仙(サキシマボタンヅルの根および根茎を基原とする生薬:鎮痛、抗掻痒作用)の代用品として使用されたが、現在では使用されていない。

ソシンロウバイ(ロウバイ科) Chimonanthus praecox var.graudiflorus f. concolor

ロウバイ Chimonanthus praecoxの園芸品種。ロウバイは中国原産の落葉低木。中国では花を蝋梅花(ロウバイカ)と呼び、頭痛や口渇に用いる。ロウバイの花は内側の花被片が紅紫色であるのに対して、ソシンロウバイは内側の内花被片も黄色。乾燥させた花は風邪などに用いられる。北アメリカ東部にはクロバナロウバイが分布しており、米国留学時代に近隣の森で良く目にしたのを思い出す。

タイマツバナ(シソ科) Monarda didyma

モナルダ(ヤグルマハッカ属)として、最もよく知られる種類。北アメリカ東北部原産の多年草で花の長さが4〜5cmと大きくて目立つ。原産地のアメリカインディアンが、花期の地上部を煎じて、のどの痛み、気管支炎、健胃、生理痛、駆虫薬などに用いた。移住した白人も同じように使うようになった。成分はチモールを主とする精油。

タツタソウ(メギ科) Jeffersonia dubia

1属2種。朝鮮半島北部から中国東北部に分布する多年生草本。薬用部位は根および根茎で、鮮黄連(センオウレン)と呼び、苦味健胃薬として使用される。一方、北アメリカには、Jeffersonia diphyllaが隔離分布しており、チェロキー族は痛みや炎症に湿布薬として使用し、イロコイ族は下痢の治療に使用したという記録が残っている。このように、かけ離れた地にある共通植物を同じような治療に利用した例である。

タンジン(シソ科) Salvia miltiorrhiza

中国原産の多年草。薬用部位は、根で丹参(タンジン:赤い薬用人参を意味する)と呼び、中国では、血液浄化、止痛などに用いられる。日本でも漢方処方に加味剤として、用いられる。サルビアの属名は無病息災を意味し、同属植物では、ハーブとして利用されるセージが代表格であり、ソーセージの名前の由来にもなっている。日本ではふつうサルビアと言えば、緋色の花をつけるブラジル原産のヒゴロモソウをさす。

ダイコン(アブラナ科) Raphanus sativus var.hortensis

弥生時代に中国から伝来し、春の七草の一つで「すずしろ(蘿蔔、清白)」と呼ばれる。各地で多くの品種がつくり出された。近年、甘みを有するものが好まれ、本来の辛みがある大根が少なくなった。子供時代に、涙を出しながら食べたジャコ入り大根おろしが懐かしい。薬用部位は種子で、ライフクシと呼び、健胃、鎮咳、去痰薬とする。写真は、世界一重いとされる桜島ダイコンの花。

ダイダイ(ミカン科) Citrus aurantium var.daidai

アジア南東部原産の常緑小高木で、高さは4〜5 m。国内では、関東以西の暖地で栽培される。果実は木から落ちないで、翌年の夏には再び緑になり、次の新しい果実が実るまで残ることから「代々」が和名の語源。お正月の鏡餅の上には「代々」繁盛することを願い、黄金色に熟した橙(ダイダイ)をのせる。ミカンをのせる家もあるが是非とも橙を用いてほしい。薬用部位は成熟した果皮で、橙皮(トウヒ)と呼び、芳香性苦味健胃薬とする。成分は、リモネンなどの精油およびフラボノイドのヘスペリジンやナリンギン。

ツルドクダミ(タデ科) Pleuropterus multiflorus

中国原産のつる性多年生草本。江戸時代に強精薬として伝来したが、現在では各地に野生化している。薬用部位は塊根で何首烏(カシュウ)と呼び、滋養強壮や便秘薬として用いられる。昔、何(カ)という名前の人が、これを服用して、首から上すなわち頭髪がカラスのように黒くなったという。漢方薬では、冷えがあり皮膚の乾燥や老人のかゆみなどに使用される当帰飲子に配合される。含有成分はアントラキノン類。

ツルニチニチソウ(キョウチクトウ科) Vinca major 【有毒】

地中海地方原産。ニチニチソウに似ているが、蔓性の植物である。降圧や抗炎症の目的のために薬用とされるが、ニチニチソウも含めて毒性を有するアルカロイドを含むため、民間療法的に用いるのは危険である。

ツワブキ(キク科) Farfugium japonicum

日本原産の常緑多年生草本。ツヤ(光沢)のある葉が蕗(フキ)の葉に似ており、同じキク科のフキと区別した。フキは“拭き葉”でトイレットペーパーなど紙の代用としたことに由来する。薬用部位は根でたく吾(タクゴ)と呼び、下痢や胃腸薬などに利用される。また、生葉や茎を手で揉んで、切り傷、虫さされ、しもやけなどに利用される。湿疹には浴剤として使用。含有成分にピロリチジンアルカロイドがあり、連用や一度に大量摂取することを避けるべきである。

テッピセッコク(温室)(ラン科) Dendrobium officinale

セッコク属の仲間は900種類を超え、一般にデンドロビウムという名前で切り花や鉢植えが園芸植物として売られている。薬用部位は茎で、石斛(セッコク)と呼ばれ、滋養強壮に用いられる。ワシントン条約で規制されている生薬であり、栽培品の輸入にも手間がかかる。一方、中国では非常によく使用され、テッピセッコク(鉄皮石斛)がコウキセッコクD. nobileの何倍もの高値で取引されている。成分はアルカロイドのデンドロビンなど。

テンダイウヤク(クスノキ科) Lindera strychnifolia

中国中部原産の常緑低木。秦の始皇帝に命じられ不老長寿薬を求めた徐福が、本植物を求めて、熊野灘に上陸したという伝説がある(和歌山新宮市に徐福公園がある)。薬用部位は肥大した根で、烏薬(ウヤク)または天台烏薬(テンダイウヤク)と呼び、下腹部の痛みの治療や健胃を目的として使用される。この植物が不老長寿薬になるかどうかはわからない。本園でも、たくさんのテンダイウヤクが垣根として植栽されている。

トウガラシ(ナス科) Capsicum annuum

中央・南アメリカ原産の多年生草本。コロンブスにより、ヨーロッパに伝えられ、東南アジア、東アジアへと広がった。唐芥子は中国から来た辛いものを意味する。七味唐辛子など、香辛料として有名である。薬用部位は果実で、番椒(バンショウ)と呼び、皮膚の刺激薬などとして利用される他、辛味性健胃薬ともする。成分はカプサイシン。

トウキ(セリ科) Angelica acutiloba

本州の中部以北に自生する一捻草(花を付けると株が枯れる多年生草本)で、草丈は20〜80 cm。薬用部位は根で当帰(トウキ)と呼ばれ婦人科疾患などに用いられる漢方薬に配合される。和歌山県(大深当帰)や北海道(北海当帰)で栽培されている。茎葉も浴剤として使用される。全草に独特の芳香を有している。中国で用いられる当帰はAngelica sinensisの根で、日本産とは異なる植物が用いられている。

トウゴマ(トウダイグサ科) Ricinus communis 【有毒】

北アフリカ〜インド、小アジア原産の一年生草本で、油脂用植物として広く植栽される。古代エジプトの世界最古の医学文献であるEbers Papyrusに使用法が記されている。薬用部位は種子を圧搾して得られた脂肪油で、蓖麻子油(ヒマシ油)と呼ばれる。瀉下剤としては20〜30gを内服する。また、浣腸剤としても使用される。しかしながら、毒性のタンパク質リシンや毒性アルカロイドのリシニンを含むため、民間での使用は避けるべきである。現在は、工業用の油として多用される様である。

ナツメ(クロウメモドキ科) Zizyphus jujuba var.inermis

中国東北部原産の落葉高木。初夏に芽を出すのでナツメ(夏芽)と名付けられたという説がある。6〜7月ごろ淡黄色の小花を咲かせ、9〜10月に楕円球状の果実をつける。未熟な緑色をした果実も生食されるが、暗紅色に熟した果実を干したものが、生薬の大棗(タイソウ)で、滋養強壮、免疫力増強、精神安定などの目的に様々な漢方薬に配合される。また、生の葉を口に入れて噛み、その後、砂糖を口に入れても甘味を感じなくなる。

ニオイスミレ(スミレ科) Viola odorata

ヨーロッパ南部原産の一年生から多年生草本。花に芳香がある。薬用部位は、花または葉で、鎮咳薬として、ヨーロッパで古くから使用された。また、抗癌植物として評判をもつが、その科学的根拠は無い。花は入浴料としても利用される。成分はフラボノイドのビオランチンやルチンの他、ミロシンなどのサポニンも含有する。

ネズミモチ(モクセイ科) Ligustrum japonicus

日本原産の常緑小高木で、本州中部以西の海岸近くの山地に自生。果実(写真)がネズミの糞に似ており、木の姿はモチノキにそっくりなのでこの名が付いた。薬用部位は果実で、女貞子(ジョテイシ)と呼び、滋養強壮などを目的に使用されるが、日本で使用されている漢方薬には配合されていない。また、女貞子は、本来トウネズミモチ(L. lucidum)の果実を基原とする。葉には、解熱や鎮痛の薬効がある他、湿疹やかぶれに入浴料とする。

ハシリドコロ(ナス科) Scopolia japonica 【有毒】

日本原産の多年生草本。春先にやわらかい茎と葉を山菜と間違えて食べると、中毒や幻覚をおこし走り回ることが和名の由来である。根および根茎をロート根と呼び、医薬品原料に使用される。成分は、ヒヨスチアミンやスコポラミンなどのアルカロイドで、強い副交感神経遮断作用を示す。これらの成分は、チョウセンアサガオやエンジェルトランペットなどの園芸種にも含まれており、注意が必要である。

ハトムギ(イネ科) Coix lacryma-jobi var.ma-yuen

中国南部、インドシナ半島原産のジュズダマ(Coix lacryma-jobi)の栽培型。種子は食用にされ、ムギ茶のように煎じて用いているのがハトムギ茶。薬用部位は、種皮を除いた種子で、薏苡仁(ヨクイニン)と呼び、利尿、消炎、鎮痛、排膿の目的で、薏苡仁湯などの漢方薬に配合される。民間的には、イボとりや肌あれなどに使用される。ジュズダマとハトムギの区別は、ハトムギの花序が垂れ下がるので見分けがつく。

ハマゴウ(クマツヅラ科) Vitex rotundifolia

本州から南西諸島の海岸や東南アジア、オーストラリアの海岸に分布する落葉低木で、紫色の小さな花を咲かせる。乾燥に耐えるため、枝や葉には細かな毛が生えている。地上に見えるのは枝先で、砂の中を枝が伸びている。薬用部位は強い臭気のある果実で蔓荊子(マンケイシ)と呼び、頭痛や感冒に用いる。また、清上蠲痛湯などの漢方薬に配合される。含有成分はピネンなどの精油の他、ビテキシカルピンなどのフラボノイド。

ハンゲショウ(ドクダミ科) Saururus chinensis

日本、中国、フィリピンなどの低湿地に群生する多年草。日本には、ドクダミ科に属する植物が、ドクダミと本種の2種だけある(その他の種は北アメリカに分布)。茎や葉に独特の臭気がある。夏には、茎の上部につく葉が、表面だけ白色になる。薬用部位は、全草で、民間薬的に、水腫、解毒、脚気、利尿に用いられる。漢方薬には配合されない。属名のサウルルスは「トカゲ」と「尾」を意味し、細長い花穂に由来する。

パイナップル(温室)(パイナップル科) Ananas comosus

南アメリカ原産の多年生草本で、草丈は1mになる。熱帯各地で、果実を目的に栽培されている。酸味の強い未熟な果実は、消化促進や食欲増進のために用いられる。また、成熟果実は身体の熱をとり、鎮静作用があるとされる。インドでは、無月経や月経困難症に用いられる。果実には、タンパク分解酵素のブロメライン(bromelain)やビタミンCを高含量で含有する。

ヒイラギ(モクセイ科) Osmanthus heterophyllus

本州、四国などの暖かい地方に分布する常緑小高木。邪鬼の侵入を防ぐとして庭木によく用いられる。秋から冬にかけて、同じモクセイ科のキンモクセイの花によく似た香りの強い白い花を付ける。節分ではこの木を玄関に挿し、邪鬼を防ぐ風習がある。我が家では、昔からイワシの頭を刺したヒイラギの枝を玄関挿す。薬用としての使用例はない。

ヒガンバナ(ヒガンバナ科) Lycoris radiata 【有毒】

中国の長江流域に多く分布する球根植物で冬緑型多年生草本。夏に休眠し、秋に地中から花茎を伸ばし開花する。鱗茎を石蒜(セキサン)と呼び、催吐薬や去痰薬などの原料に用いられた。民間的には、むくみをとるために鱗茎をすり潰して足の裏に貼る。全草特に鱗茎に毒性のアルカロイドであるリコリンを含む。救荒植物として弥生時代に持ち込まれ水田の周りに植栽されたとされるが、リコリンを含むので水でよくさらしてデンプンをとる。写真左はシロバナマンジュシャゲ(Lycoris albiflora)。

ヒヨス(ナス科) Hyoscyamus niger

ヨーロッパ〜シベリア、ヒマラヤ、中国にかけて広く分布する1年生あるいは2年生草本。全草に密に腺毛がはえ、高さは約1m。日本に自生しないが、製薬原料として栽培される。全草にスコポラミンやヒヨスチアミンなど(有毒成分)を含む。製薬原料となるが、民間での利用は不可能。同様の成分は、チョウセンアサガオやハシリドコロにも含有される。

ビワ(バラ科) Eriobotrya japonica

中国原産の常緑高木。冬に芳香性のある白い花を咲かせる。薬用部位は葉で、枇杷葉(ビワヨウ)と呼び、慢性鼻炎や蓄膿症などに応用される辛夷清肺湯と言う漢方薬に配合される。また、民間薬として、江戸時代から盛んに用いられてきた。その代表的なものとして、暑気あたりに使用された枇杷葉湯や湿疹、汗疹を治療するための入浴料としての使用が挙げられる。成分は青酸配糖体のアミグダリンやトリテルペン、タンニンなど。

フキ(キク科) Petasites japonica

本州、四国、九州や沖縄に分布する多年生草本。山野や道端の湿った土地に生える。雌雄異株で、雄株の頭花には、両性の筒状花があり、雌株の頭花には、外側に多くの雌花があり、花冠は糸状である。若い花茎や葉柄は主に食用とされる。早春に食するフキノトウの天ぷらは少し苦味があり、とても美味である。薬用には若芽を鎮咳、去痰、胃痛などに用いる。成分はクロロゲン酸やカフェー酸、フキ酸などを含む。

フキタンポポ(キク科) Tussilago farfara

ヨーロッパ、北アフリカ、インド、中国原産の多年生草本で、草丈は10〜50cm。日本には明治時代に渡来した。和名の由来は、タンポポの花によく似ており、葉がフキの様であることから。鮮黄色の頭花内には、雄花と雌花が同居する。薬用部位は花で、款冬花(カントウカ)と呼び、鎮咳、去痰、利尿に用いられる。また、葉も款冬葉と呼び、同様に使用される。

フクジュソウ(キンポウゲ科) Adonis amurensis 【有毒】

元日草とも言われ、お正月と縁が深い花である。絶滅危惧種にも指定されている。根および根茎を強心利尿薬として使用されるが、家庭で安易に使用するべきではない。服用量が難しく、中毒を起こす。心臓病の予防に良いと言われ、根を煎じて服用し、死亡した事件が報告されている。

フジバカマ(キク科) Eupatorium fortunei

日本〜朝鮮半島に分布する多年生草本で、草丈は1〜1.5m。秋の七草のひとつで、「藤袴」は秋の季語となっている。生の葉や茎には芳香は無いが、乾燥させるとクマリンの香り(桜餅の香りと同じ)があり、浴湯料などにされる。薬用部位は全草で、蘭草(ランソウ)と呼び、利尿薬や糖尿病予防などに使用される。日本には、同属(Eupatorium)の植物として、ヒヨドリバナ、ヨツバヒヨドリ、サワヒヨドリが自生している。

フユイチゴ(バラ科) Rubus buergeri

日本〜朝鮮半島原産の常緑つる性小低木。キイチゴ属で、ラズベリー、ブラックベリー、ナワシロイチゴ、クサイチゴ、モミジイチゴなどと同じ仲間。多くの木イチゴが夏に果実をつけるが、本植物は冬に赤い果実をつけることが名前の由来。寒苺(カンイチゴ)とも言われる。口に入れると爽やかな酸味がひろがる。薬用には使用されないが、冬の薬用植物園を楽しませてくれる植物である。

ベニバナ(キク科) Carthamus tinctorius

地中海地域原産とされる1年生草本。草丈は約1m。6月ごろ鮮やかな黄色の管状頭花をつけるが、次第にその花の色は紅色に変化する。薬用部位は、赤くなった花(管状花)で、紅花(コウカ)と呼び、血流改善、通経薬として、漢方薬の折衝飲や通導散などに配合される。赤色色素はカーサミンと呼ばれる成分。染料としても重要で、京紅などの原料。また、種子からとられるサフラワーオイルは食用油として利用される。

ベラドンナ(ナス科) Atropa belladonna 【有毒】

ヨーロッパ〜西アジア原産の多年生草本。英名のベラドンナが和名になっている。Belladonnaは美しい女性を意味しており、ルネサンス時代にこの植物の汁を点眼して目を美しく見せる化粧がはやったためと言われている(瞳孔が開き、神秘的な目になるが、失明することもある)。薬用部位は根で、ベラドンナコンと呼び、鎮痛、鎮痙薬とされる。成分はアトロピンやスコポラミンなどの有毒アルカロイド。目薬としての使用も含め、民間での使用は絶対にしてはいけない。

ホオノキ(モクレン科) Magnolia obovata

日本および中国原産の落葉高木。根元の直径1m、高さ20mもの大木もある。花も巨大で美しい。その大きな葉に味噌をうすく塗り焼いた「ほお葉味噌」は奥飛騨の名物である。一度食すると、葉の香りが味噌に移った素朴な味が忘れられない。薬用部位は、樹皮で、厚朴(コウボク)と呼ばれ、鎮咳、去痰、健胃の目的で、半夏厚朴湯や平胃散などの漢方薬に配合される。

ホザキイカリソウ(メギ科) Epimedium sagittatum

中国原産の常緑多年生草本。草丈は、30〜40 cm。花は小さく、よく観察しなければ気付かない。薬用部位は地上部で淫羊藿(インヨウカク)と呼び、強壮・強精薬とされる。第16改正日本薬局方では、インヨウカクの基原植物として、本植物を含めイカリソウなど7種類のEpimedium属植物が掲載されている。Vol. 13のイカリソウを参照。

ホソバタイセイ(アブラナ科) Isatis tinctoria

南ヨーロッパおよび西南アジア原産の多年生草本で、草丈は約1 m。日本の藍染はタデ科のアイを発酵させてインジゴという成分を生成させて染色する。これに対してヨーロッパでは本植物の葉が利用され、インジゴを製造した。薬用部位は根で、板藍根(バンランコン)と呼ばれ清熱解毒薬として用いられる。抗ウイルス作用や免疫増強作用が知られており、風邪やインフルエンザ予防などに広く使用されている。また、葉は大青葉(ダイセイヨウ)という生薬で、板藍根とほぼ同様に使われる。

ホテイアオイ(ミズアオイ科) Eichhornia crassipes

南アメリカ原産の多年生の浮遊植物。英名はwater hyacinth(ウォーター・ヒアシンス)。和名は七福神の布袋さまの腹のように膨れた葉柄に由来する。また、水生植物では唯一、世界十大害草として、blue devil(青い悪魔)の名で恐れられている。中国では、全草または根を水葫蘆(スイコロ)と呼び、清熱(熱をとる)および解毒薬として用いられる。

ボタン(ボタン科) Paeonia suffuruticosa

中国原産の落葉低木。和名は漢名の「牡丹」の音読み。空海が中国から持ち帰ったという説があり、長谷寺や当麻寺のボタンが有名である。花の色は、赤紫(原種)、赤、白など多数。薬用部位は根の皮で、牡丹皮(ボタンピ)と呼ばれ、消炎や血流改善効果を示し、月経不順や月経困難などに用いられる漢方薬に配合される(大黄牡丹皮湯や桂枝茯苓丸など)。含有成分はペオノールとそれらの配糖体。

ボリジ(ムラサキ科) Borago officinalis

地中海沿岸地方原産の一年生草本。瑠璃色の花で、葉がチシャ(レタスなど)に似ていることからルリジサとも言う。星型をした美しい青い花は、砂糖漬けなどにして、ケーキなどの飾りに使用される。また、生でサラダの彩りに使われる。その種子油はアロマテラピーのキャリアオイルとしても使用されている。乾燥させた葉と花は,胃液分泌促進作用を期待し、茶剤とするが、ピロリチジンアルカロイドを含むため、常用は避けるべきである。

ポドフィルム(メギ科) Podophyllum peltatum 【有毒】

北アメリカ東部原産の多年生草本。東アジアにヒマラヤハッカクレンが隔離分布する。英名はMayappleで、果実は多肉質で黄色に熟し、食用となるが、その他の部位は有毒である。根茎をポドフィルム根と呼び、瀉下薬とする。成分はポドフィロトキシン(有毒成分)で、これを原料に抗癌剤のエトポシドが化学合成される。 エトポシドは肺小細胞癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌に用いられている。

マリアアザミ(キク科) Silybum marianim

南ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産の二年生草本。オオアザミとも言う。草丈は約1mで、葉は大きく表面に美しい乳白色の斑点が現れる。欧米では、種子のエタノール抽出物をシリマリンと呼び、肝炎の治療に用いられる。さらに抗酸化作用も強い。日本では、サプリメント原料に使用される。成分はシリビンなどのフラボノリグナン類。

ミクリ(ミクリ科) Sparganium stoloniferum

北半球とオーストラリアに分布する多年生草本で、日本では各地の河川や湖沼の浅い水中に生える。草丈は200cmぐらいになる。茎の上部に雄性頭花、下部に雌性頭花をつけ、頭花をつけた茎が枝分かれするのが特徴。写真は、雄性頭花。果実が栗のいがに似ていることから実栗と呼ばれる。薬用部位は根茎で、三稜(サンリョウ)と呼び中国では通経薬などとして使用される。

ミシマサイコ(セリ科) Bupleurum falcatum

日本や朝鮮半島原産で、日当たりのよい山地および丘陵地の草原に自生する多年生草本。草丈は40〜60cmになり分枝する。薬用部位は根で柴胡(サイコ)と呼び、小柴胡湯や補中益気湯など数多くの重要な漢方薬に配合される。和名の由来は、静岡県三島地方に自生する野生種から良質の生薬・柴胡が産出され、その商品名が「三島柴胡」と呼ばれたことに由来する。成分はサイコサポニン類で、抗炎症作用などを有する。

ミツガシワ(ミツガシワ科) Menyanthes torifoliata

主に北海道から中部地方の高原の湿地などに自生する多年生草本。3枚の小葉をもつ複葉が特徴で、すべて根生する。氷河期から生きていると言われている。乾燥した葉を睡菜葉(スイサイヨウ)と呼び、苦味健胃薬とする。本植物を食すると眠くなるということから睡菜葉と名付けられたらしい.成分はイリドイド配糖体を含む。

ミツマタ(ジンチョウゲ科) Edgeworthia chrysantha 【有毒】

中国原産の落葉低木で、高さは約2 m。枝先が3本に分かれて伸びるので、三股(みつまた)の名前が付けられた。コウゾと並び、和紙の原料とされる。また、黄金色の花が美しいので、広く世界各地の庭園に植栽されている。薬用部位は蕾で、中国では夢花(ムカ)と呼び、多涙の治療などに用いられたが、毒性があることから、現在では使用しない。ジンチョウゲ科の植物は毒性が強いので注意が必要である。

ムサシアブミ(サトイモ科) Arisaema ringens 【有毒】

ウラシマソウやマムシグサの仲間で、消炎や去痰などに用いられるが、皮膚や粘膜を刺激し、炎症を引き起こす。有毒植物なので、これらの仲間の食用は避けるべきである。

ムラサキ(ムラサキ科) Lithosperumum erythrorhizon

北海道〜九州にかけての山地や草原に自生する多年生草本。現在はその数も激減しており、自然にその姿を見ることは少ない。昔から染料として大切にされ、この植物の根で染めた紫色は冠位十二階でも最も高貴な色。見学会では、ムラサキと言う名前なのに白い花?と質問されることも多い。薬用部位は紫色をした根で、紫根(シコン)と呼び、火傷に使用される紫雲膏(華岡青洲が創製した)などの漢方薬に配合される。成分は、シコニンやアセチルシコニン。私達の研究室では、紫雲膏の真の活性成分について研究を行っている。

ムラサキバレンギク(キク科) Echinacea sp.

ムラサキバレンギク Echinacea purpureaは、北アメリカ原産の多年生草本で、草丈は約1 mぐらいになる。花床が円錐形となり、英名はpurple cone flower。本園の花は白色であるが、本来は紫色。薬用部位は根茎で、免疫増強作用などが知られている。医薬品ではなくサプリメントとして「エキナケア」の名称で広く使用されており、アメリカでは非常に人気がある。最近、医薬品との相互作用の報告もされており、服用するときは薬剤師などに相談すると良い。

メハジキ(シソ科) Leonurus japonicus

日本原産の二年生または一年生草本で、草丈は1m以上になる。花は葉腋に車状に付く。和名は、この草の茎を短く切り、子供たちが瞼にはさみ、目を大きくして遊んだことに由来している。薬用部位は全草で益母草(ヤクモソウ)と呼び、婦人病やリウマチに用いられる。英名は、マザーワート(訳:母親草)で、西洋でも、全草を煎じて、産後の止血や強壮薬として用いられる。成分はレオヌリンというアルカロイドを含む。

モモ(バラ科) Prunus persica

中国原産の落葉高木。中国では4000年以上も前から栽培されている。日本には、弥生時代以前に伝わったとされている。果実は生食するが、薬用部位は、種子で、桃仁(トウニン)と呼び、消炎・鎮痛などの効用を示す。漢方薬では、桃核承気湯や桂枝茯苓丸などに配合される。杏仁と同様に、青酸配糖体であるアミグダリンを含有する。また、花は白桃花という生薬で、下剤となる。さらに、民間的に葉は湿疹などに良いとされ、入浴剤(桃葉湯)などに利用される。

ヨモギギク(キク科) Tanacetum vulgare

ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布する多年生草本。日本では、北海道の日本海側の草原に生える(エゾノヨモギギク)。全草に芳香があり、古くから虫除けなどに利用されてきた。また、英名はタンジー(tansy)で、パイやマリネードの香りつけなどに使われる。花や葉から抽出されたエキスや精油は、リウマチや潰瘍、解熱に用いられる。また、抗菌活性や抗酸化活性も示す。一方、Senecio属(キオン属)のtansy ragwort ( Senecio jacobaea)にはピロリチジンアルカロイド(有毒成分)の含有が報告されており、注意が必要である。

ヨロイグサ(セリ科) Angelica dahurica

本州、九州に分布している大型の多年生草本で、草丈は1〜3 mになる。7〜8月に大型の複散形花序に白い小さな花を多数つける。属名のAngelica(アンゲリカ)は、この大きな花序がangelus(エンジェル、天使)にたとえられたことに由来する。薬用部位は根で、白芷(ビャクシ)と呼ばれ感冒薬や鎮痛薬とされ、疎経活血湯や川芎茶調散などの漢方薬に配合される。成分はビャクアンゲルコールなどのフロクマリン類。

ラッキョウ(ユリ科) Allium chinense

中国原産の多年生草本。秋には高さ40〜60cmの花茎を出し、紅紫色の小さな美しい花を半球状の散形花序としてつける。日本に渡来した時期は不明。日本では漬物として食される。中国でも古くから食用とした。薬用としては、鱗茎を薤白(ガイハク)と呼び、下痢や胸の苦しみ、呼吸困難などに用いられる。 薬用植物園では、花が少なくなった秋に美しい花を付け、写真の良い被写体となる。

リンドウ(リンドウ科) Gentiana scabra var.buergeri

日本原産の多年生草本で、山地や丘陵地に生える。草丈は20〜60cm。秋を彩る日本の代表的な花であるのに秋の七草には読まれなかったことが不思議である。薬用部位は根および根茎で竜胆(リュウタン)と呼び健胃薬とされる(現在の日本薬局方では中国原産のトウリンドウGentiana scabraを基原とする)他、竜胆瀉肝湯や疎経活血湯などの漢方薬に配合される。このリュウタンが転じてリンドウという名になった。苦い薬の代表で、センブリもリンドウの仲間。成分は苦味配糖体のゲンチオピクロシド。

レンギョウ(モクセイ科) Forsythia suspensa

中国原産の落葉低木。庭木として、全国各地に植栽されている。3月に黄色の花をたくさん付ける。薬用部位は果実で、連翹(レンギョウ)と呼び慢性副鼻腔炎などに使用される荊芥連翹湯などの漢方薬に配合される。しかし、多くの人はレンギョウに果実が付くことを知らない。本植物は長花柱花株と短花柱花株があり、果実採取のためには両方を混植する必要がある。花の観賞用では果実が見苦しいために、どちらか一方のみが植栽されている。

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