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薬物動態学2  [Biopharmaceutics and Relevant Pharmacokinetics 2]

開講情報
3年次 後期 1.5単位 必修(☆印は担当代表者)
担当教員
☆ 教授 掛見 正郎 講師 宮崎 誠  
備考
授業の目的と概要
 薬物動態学は、薬物が生体に投与されてから体外に排泄されるまでの薬物の動き、すなわち薬物の吸収(Absorption)、分布(Distribution)、代謝(Metabolism)、排泄(Excretion)およびそれらの速度論的過程(pharmacokinetics)を取り扱う。「薬物動態学2」ではこれらのうち、薬物代謝と排泄を取り扱う。このため、「薬物動態学1」、「薬物動態学3」、「臨床薬物動態学」、「剤形設計学」と密接に関連しているため、これらを総合的に理解しておくことが重要である。
●一般目標(GIO) 
(1)医薬品の作用する過程を理解するために、代表的な薬物の作用、作用機序、および体内での運命に関する基本的知識と態度を修得し、それらを応用する基本的技能を身につける。
(2)作用部位に達した薬物の量と作用により薬効が決まることを理解するために、薬物の生体内における動きと作用に関する基本的知識、技能、態度を修得する。
(3)薬物の生体内運命を理解するために、代謝、排泄の過程に関する基本的知識とそれらを解析するための基本的技能を修得する。
●到達目標(SBOs) 
【代謝】
1)薬物分子の体内での化学的変化とそれが起こる部位を列挙して説明できる。
2)薬物代謝が薬効に及ぼす影響について説明できる。
3)薬物代謝様式とそれに関わる代表的な酵素を列挙できる。
4)シトクロムP-450 の構造、性質、反応様式について説明できる。
5)薬物の酸化反応について具体的な例を挙げて説明できる。
6)薬物の還元・加水分解、抱合について具体的な例を挙げて説明できる。
7)薬物代謝酵素の変動要因(誘導、阻害、加齢、SNPs など)について説明できる。
8)初回通過効果について説明できる。
9)肝および固有クリアランスについて説明できる。
【排泄】
1)腎における排泄機構について説明できる。
2)腎クリアランスについて説明できる。
3)糸球体ろ過速度について説明できる。
4)胆汁中排泄について説明できる。
5)腸肝循環を説明し、代表的な腸肝循環の薬物を列挙できる。
6)唾液・乳汁中への排泄について説明できる。
7)尿中排泄率の高い代表的な薬物を列挙できる。
【相互作用】
1)薬物代謝に起因する相互作用の代表的な例を挙げ、回避のための方法を説明できる。
2)薬物排泄に起因する相互作用の代表的な例を挙げ、回避のための方法を説明できる。
授業の方法
授業は板書と教科書を使用する。教科書の記述が古くなっていたり、誤っている場合はプリントを配付して適宜補足する。
●準備学習や授業に対する心構え

●オフィス・アワー 
随時
成績評価法
あくまでも試験の成績によって評価する。薬物動態学は薬剤師国家試験の中心教科の一つであるので、「どこまで理解できたか」が重要である。
教科書
書名 著者名 出版社名
『広義 薬物動態学』 掛見正郎 (編) 京都廣川書店
授業計画
項目 授業内容
1 薬物代謝(1) 薬物分子の体内での化学的変化とそれが起こる部位を列挙して説明できる。
薬物代謝が薬効に及ぼす影響について説明できる。
薬物代謝様式とそれに関わる代表的な酵素を列挙できる。
シトクロムP-450 の構造、性質、反応様式について説明できる。
薬物の酸化反応について具体的な例を挙げて説明できる。薬物の還元・加水分解、抱合について具体的な例を挙げて説明できる。
具体的には、薬物代謝を概説する。すなわち、薬物代謝の意義、薬物代謝の部位(肝代謝、消化管代謝)、代謝反応の様式、第I相反応(酸化、還元、加水分解)、第II相反応(抱合反応)、第III相反応(排出トランスポーター)を総論的に解説する。
2 薬物代謝(2) 薬物代謝様式とそれに関わる代表的な酵素を列挙できる。
シトクロムP-450 の構造、性質、反応様式について説明できる。
薬物の酸化反応について具体的な例を挙げて説明できる。具体的には、第I相反応の主力であるシトクロームP450(CYP)による酸化反応機構、CYPの分子種の遺伝学的系統樹、ヒトにおける主なCYP分子種(CYP1A1、CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4など)について解説する。
3 薬物代謝(3) 薬物代謝様式とそれに関わる代表的な酵素を列挙できる。
薬物の酸化反応について具体的な例を挙げて説明できる。具体的には、第I相反応のうちの、CYP以外による酸化反応(FMO,MAO,ADH,ALDHなど)について解説する。
4 薬物代謝(4) 薬物代謝様式とそれに関わる代表的な酵素を列挙できる。
薬物の還元・加水分解、抱合について具体的な例を挙げて説明できる。
具体的には、第I相反応のうちの還元、加水分解反応について解説する。
5 薬物代謝(5) 薬物の抱合について具体的な例を挙げて説明できる。
具体的には、抱合反応の種類(グルクロン酸抱合、硫酸抱合、グリシン抱合、アセチル抱合、グルタチオン抱合)とその機構について解説する。
6 薬物代謝(6) 初回通過効果について説明できる。
肝および固有クリアランスについて説明できる。
具体的には、第III相反応とも呼ばれている、肝臓における薬物排出トランスポーター群(ABCトランスポーター、SLCトランスポーター)についてその役割と排出機構について解説する。
7 薬物代謝(7) 薬物代謝酵素の変動要因(誘導、阻害、加齢、SNPs など)について説明できる。
薬物代謝阻害に起因する相互作用の代表的な例を挙げ、回避のための方法を説明できる。 
具体的には、代謝阻害とそのメカニズム、臨床的な意味を解説する。
8 薬物代謝(8) 薬物代謝酵素の変動要因(誘導、阻害、加齢、SNPs など)について説明できる。
薬物代謝誘導に起因する相互作用の代表的な例を挙げ、回避のための方法を説明できる。 
具体的には、代謝誘導とそのメカニズム、核内レセプターの役割、臨床的意味について解説する。
9 薬物の排泄(1) 腎における排泄機構について説明できる。
腎クリアランスについて説明できる。
糸球体ろ過速度について説明できる。
具体的には、腎の構造と尿の生成、物質の腎排泄機構(糸球体濾過、尿細管分泌、再吸収)について解説する。
10 薬物の排泄(2) 腎クリアランスについて説明できる。
糸球体ろ過速度について説明できる。
具体的には、クリアランス、糸球体濾過速度(GFR)、腎血漿流量(RPF)、濾過率、腎クリアランスの数式的な取扱い、たんぱく結合補正クリアランス、クリアランス比、クリアランス実験法について解説する。
11 薬物の排泄(3) 腎における排泄機構について説明できる。
尿中排泄率の高い代表的な薬物を列挙できる。
具体的には、腎排泄に関与するトランスポーター(有機アニオントランスポーター、有機カチオントランスポーター、P糖タンパク質など)について解説する。
12 薬物の排泄(4) 胆汁中排泄について説明できる。
腸肝循環を説明し、代表的な腸肝循環の薬物を列挙できる。
具体的には、肝の構造、胆汁の生成、肝への薬物の取り込みと胆汁中排泄機構、腸肝循環、肝排泄に関与するトランスポーターについて解説する。
13 薬物の排泄(5) 肝および固有クリアランスについて説明できる。
初回通過効果について説明できる。
具体的には、肝クリアランスの概念、臓器クリアランス、肝固有クリアランス、肝抽出率、バイオアベイラビリティー、肝初回通過効果について解説する。
14 薬物の排泄(6) 唾液・乳汁中への排泄について説明できる。
具体的には、腎、肝以外の経路からの排泄として、汗中、乳汁中、呼気中、唾液中、毛髪中への薬物の排泄について解説する。
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