トップページへ

薬物動態学1  [Biopharmaceutics and Relevant Pharmacokinetics 1]

開講情報
3年次 前期 1.5単位 必修
担当教員
教授 掛見 正郎    
備考
授業の目的と概要
 医薬品が生体にとって最も好ましい形状で適用され、その医薬品の持つ効力が最大限に活用されるよう投与方法と投与剤形を考究する領域を「薬剤学」という。この薬剤学の領域は、薬物を製剤化するための物性を研究する「物理薬剤学」、「製剤工学」、新しい投与経路を含め投与剤形を考究する「剤形設計学(製剤学)」、薬物が生体に投与されてから体外に排泄されるまでの薬物の動き、すなわち薬物の吸収(Absorption)、分布(Distribution)、代謝(Metabolism)、排泄(Excretion)、およびそれらの速度論的過程(Pharmacokinetics)を取り扱う狭義の「薬物動態学」、処方箋にしたがって薬剤を調製する「医療薬剤学(調剤学)」、患者に交付する際の服薬指導や患者個々に合わせた投与計画の設定など医療現場との接点を司る「臨床薬剤学」など、極めて広範囲に及んでいる。これらのうち、薬物動態学はすべての薬剤学の基礎としてとりわけ重要である。「薬物動態学1」では、これらの領域のうち吸収と分布について講義する。
●一般目標(GIO) 
(1)医薬品の作用する過程を理解するために、代表的な薬物の作用、作用機序、および体内での運命に関する基本的知識と態度を修得し、それらを応用する基本的技能を身につける。
(2)作用部位に達した薬物の量と作用により薬効が決まることを理解するために、薬物の生体内における動きと作用に関する基本的知識、技能、態度を修得する。
(3)薬物の生体内運命を理解するために、吸収、分布、代謝、排泄の過程に関する基本的知識とそれらを解析するための基本的技能を修得する。
●到達目標(SBOs) 
1)薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)と薬効発現の関わりについて説明できる。
2)薬物の代表的な投与方法(剤形、投与経路)を列挙し、その意義を説明できる。
3)経口投与された製剤が吸収されるまでに受ける変化(崩壊、分散、溶解など)を説明できる。
4)薬物の生体内分布における循環系の重要性を説明できる。
【吸収】
1)薬物の主な吸収部位を列挙できる。
2)消化管の構造、機能と薬物吸収の関係を説明できる。
3)受動拡散(単純拡散)、促進拡散の特徴を説明できる。
4)能動輸送の特徴を説明できる。
5)非経口投与後の薬物吸収について部位別に説明できる。
6)薬物の吸収に影響する因子を列挙し説明できる。
【分布】
1)薬物が生体内に取り込まれた後、組織間で濃度差が生じる要因を説明できる。
2)薬物の脳への移行について、その機構と血液-脳関門の意義を説明できる。
3)薬物の胎児への移行について、その機構と血液‐胎盤関門の意義を説明できる。
4)薬物の体液中での存在状態(血漿タンパク結合など)を組織への移行と関連づけて説明できる。
5)薬物分布の変動要因(血流量、タンパク結合性、分布容積など)について説明できる。
6)分布容積が著しく大きい代表的な薬物を列挙できる。
7)代表的な薬物のタンパク結合能を測定できる。(技能)
授業の方法
授業は板書を中心に行い、教科書は授業内容の確認のために使用するのが原則である。その他プリントを配付したり、パワーポイントを用いて適宜教科書を補足することがある。
●準備学習や授業に対する心構え

●オフィス・アワー 
随時
成績評価法
あくまでも試験の成績によって評価する。薬物動態学は薬剤師国家試験の中心教科の一つであるので、「どこまで理解できたか」の結果が重要である。
教科書
書名 著者名 出版社名
『広義 薬物動態学』 掛見正郎(編) 京都廣川書店
授業計画
項目 授業内容
1 薬物動態学概説 薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)と薬効発現の関わりについて説明できる。
薬物の代表的な投与方法(剤形、投与経路)を列挙し、その意義を説明できる。
経口投与された製剤が吸収されるまでに受ける変化(崩壊、分散、溶解など)を説明できる。
薬物の生体内分布における循環系の重要性を説明できる。具体的には、薬物動態学の領域、生体の構造と薬物の吸収・分布・代謝・排泄(ADME)、投与剤形と吸収経路
2 薬物の吸収(1) 薬物の主な吸収部位を列挙できる。
消化管の構造、機能と薬物吸収の関係を説明できる。
受動拡散(単純拡散)、促進拡散の特徴を説明できる。
具体的には、吸収の総論:生体膜の構造、膜透過機構(受動拡散、能動輸送、膜動輸送)、pH分配仮説
3 薬物の吸収(2) 能動輸送の特徴を説明できる。
具体的には、AM、BMでの薬物輸送機構、一次性能動輸送、二次性能動輸送、促進拡散、エンドサイトーシスについて解説する。
4 薬物の吸収(3) 能動輸送の特徴を説明できる。
具体的には、SLCトランスポーター、ABCトランスポーターの役割について解説する。
5 薬物の吸収(4) 薬物の吸収に影響する因子を列挙し説明できる。
具体的には、各種投与製剤からの吸収(1)
enteral route(消化管、口腔粘膜、直腸)からの吸収、吸収に影響する因子、肝初回通過効果
6 薬物の吸収(5) 非経口投与後の薬物吸収について部位別に説明できる。
具体的には、各種投与製剤からの吸収(2)
parenteral route(眼、鼻、皮膚、膣、尿道、肺その他)からの吸収、吸収に影響する因子
7 薬物の吸収(6) 薬物の吸収に影響する因子を列挙し説明できる。
具体的には、薬物吸収に関する相互作用、P−糖たんぱくの影響などを解説する。
8 薬物の吸収(7) 薬物の吸収に影響する因子を列挙し説明できる。
具体的には、薬物の吸収実験法(in vitro, in vivo, in situ)について解説する。
9 薬物の分布(1) 薬物が生体内に取り込まれた後、組織間で濃度差が生じる要因を説明できる。
薬物の脳への移行について、その機構と血液-脳関門の意義を説明できる。
薬物の胎児への移行について、その機構と血液‐胎盤関門の意義を説明できる。
具体的には、薬物分布の定義、分布に影響する因子、薬物の脳脊髄への移行(血液脳関門BBB、血液脳脊髄関門BCSFB)、薬物の胎児への移行(血液胎盤関門)、リンパ移行、組織移行、脂肪組織その他への蓄積
10 薬物の分布(2) 薬物の体液中での存在状態(血漿タンパク結合など)を組織への移行と関連づけて説明できる。
薬物分布の変動要因(血流量、タンパク結合性、分布容積など)について説明できる。
具体的には、薬物の血漿中たんぱく(血漿アルブミン、α 1 酸性糖タンパク、グロブリン)との結合、薬物の組織結合
11 薬物の分布(3) 薬物の体液中での存在状態(血漿タンパク結合など)を組織への移行と関連づけて説明できる。
薬物分布の変動要因(血流量、タンパク結合性、分布容積など)について説明できる。
分布容積が著しく大きい代表的な薬物を列挙できる。
具体的には、薬物と血漿アルブミンとの結合サイト(サイトI、II、III)と相互作用(たんぱく結合の置換現象)、分布容積の概念、分布容積の算定法
12 薬物の分布(4) 代表的な薬物のタンパク結合能を測定できる。(技能)
具体的には、薬物のたんぱく結合の数式的な取扱い、各種プロット法(逆数プロット、スキャッチャードプロット)、血漿中タンパク結合率の測定法
13 薬物の分布(5) 薬物の生体内分布における循環系の重要性を説明できる。具体的には、薬物の血漿中たんぱく結合の臨床的な意味を解説する。
▲PAGE TOP