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実験動物科学  [Laboratory Animal Sciences]

開講情報
3年次 後期 1単位 選択
担当教員
准教授 安田 正秀    
備考
授業の目的と概要
 実験動物科学とは、実験動物ならびに動物実験法に関する科学である。ヒトの健康を扱う医学・薬学・生物学等において、動物実験とは、動物からヒトに関する情報を集める手続きで、通常は動物になんらかの拘束ないし処置が加えられて、動物が示す反応を観察することである。科学的な立場から言えば、動物実験を企画する最大の理由は、再現性の高い、正確な実験結果を手に入れることである。たとえば、新しく開発された化学物質のヒトに対する薬理効果・安全性は最終的には臨床試験で確認しなくてはならないとしても、研究過程(前臨床試験)においては、遺伝ならびに環境要因が明確にされている実験動物を利用することは当然である。前臨床試験における動物実験規範では適正な実験施設で、整備された機器・器材および遺伝ならびに環境要因が明確な良質の動物を用いて、経験豊かな有能な職員により適正な実験手順に従って実験を行わなければ質の良い、再現性の高い実験結果は得られない。「実験動物科学」では医薬品開発創製に関わる実験動物および動物実験法の極めて基本的な事項に加え、最近の話題を平易に解説する。また、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)が平成17年6月22日に改正され、平成18年7月より施行された。その改正法の中で第41条に「動物を科学上の利用に供する場合の配慮」について明示され、Russell & Burchが提唱した動物実験に於ける3Rsの概念が織り込まれた。これを受け、平成18年4月28日付けで環境省より告示第88号「実験動物の飼養及び保管並びに軽減に関する基準」が出させるなど、法的規制も変わりつつある。
●一般目標(GIO)
 動物実験の歴史的背景と医学・薬学を始とする生命科学の発展における意義を理解するとともに、実験動物を利用するために必要な飼育管理に関する基礎的な知識を習得する。また、動物実験は単に科学的であるだけでなく、実験動物の福祉に十分配慮したものでなければならいことを鑑み、動物実験を取り巻く社会情勢、適正な実験動物の在り方と、『科学的かつ倫理的な動物実験』を行うための知識を習得する。
●到達目標(SBOs)
 授業計画欄に記載します。
授業の方法
授業では教科書を使用せず、事前にプリントを配付し、主に講義形式で行います。
●準備学習や授業に対する心構え
プリントは事前に配付するので、前もって目を通し、目的意識をもって授業に出席するよう努力して下さい。また、復習や、新聞等に記載の生命科学に関する記事等にも、関心を持っよう心掛けて下さい。
●オフィス・アワー 
月曜日〜金曜日の午前8時45分〜午後6時、講義・実習・会議等で不在の場合以外は随時
B棟地下1階 動物関連研究施設
成績評価法
定期試験ならびに出席状況等を統合的に判断し評価する。試験直前の勉強のみでは十分に対処できないので、不断の努力を必要とします。
参考書
書名 著者名 出版社名
『実験動物学「総論」』 田嶋嘉雄 (編集) 朝倉書店
『実験動物学「各論」』 田嶋嘉雄 (編集) 朝倉書店
『実験動物学』 田嶋嘉雄 (監修) 朝倉書店
『実験動物の基礎I総論』 日本実験動物協会 丸善
『新実験動物学』 前島一淑 他 朝倉書店
『実験動物入門』 中野健司 他 川島書店
授業計画
項目 授業内容
1 総論 動物実験・実験動物の概念
    動物実験を行う目的と理由
動物実験の歴史的背景を説明できる。
動物実験および実験動物の概念を説明できる。
動物実験を行う目的と理由を説明できる。
2 総論 動物実験の現状と展望

各論 動物実験の基本的な考え方
動物実験に関わる世論、法的規制等を踏まえ、実験者のとるべき姿勢について説明できる。
動物実験における3R(Replacement、Reduction、Refinement)について説明できる。
動物実験の基本的な考え方について説明できる。
動物実験は、動物、環境およびヒトの三要素より構成されていることを説明できる。
3 各論 個体統御 I 動物の反応に影響を与える各要素について説明できる。
使用動物の選択基準について説明できる。
Russell & Burchが提唱している実験動物の演出型説について説明できる。
実験動物の遺伝統御について説明できる。
4 各論 個体統御 II 種・品種・系統について説明できる。
系統の選択およびその基準について説明できる。
遺伝統御による実験動物の分類について説明できる。
5 各論 個体統御 III 近郊系、ミュータント系、クローズドコロニーおよび交雑群の系統維持と生産方式について説明できる。
ミュータント系の維持およびミュータント遺伝子の導入およびミュータント遺伝子の維持方法について説明できる。
6 各論 個体統御 IV
    環境統御 I 
遺伝モニタリングの必要性とその方法について説明できる。バイオテクノロジーの手法を用いた人工動物(遺伝子改変動物:例えば核移植動物、遺伝子移植動物、キメラ等)の作出方法について説明できる。
人工動物(遺伝子改変動物)の特徴および有用性について説明できる。
実験動物の飼育の場および動物実験の場の環境統御について説明ができる。
7 各論 環境統御 II 人工配合飼料の備える条件および材料について説明できる。
飼料中の異物の混入や飼料の保管について説明できる。
空気調和および供給・排気空気の浄化法および維持について説明できる。
8 各論 環境統御 III 物理・化学的因子(光・音・臭い・物理的要因・化学物質)等が動物に及ぼす影響について説明できる。
実験動物の居住環境(ケージ・床敷・給餌器・給水器・飼育室)について説明できる。
9 各論 環境統御 IV 社会的順位、縄張り制、飼育密度、群居の規模等が動物に及ぼす影響について説明できる。
異種生物の影響および統御について説明できる。
10 各論 実験動物の微生物統御 微生物統御による実験動物の分類およびその定義・特徴などについて説明できる。
無菌動物・ノトバイオート・SPF動物の特徴および作出方法、維持方法などについて説明できる。
11 各論 バイオハザード・感染動物実験 人畜(獣)共通感染症の例を挙げ、それぞれについて説明できる。
感染動物実験における病因微生物の取扱基準、実験施設・設備について説明できる。
バイオセーフティレベル(BSL)の分類基準について説明できる。
適正な実験動物および動物実験について説明できる。
12 各論 医薬品GLP 過去に認められた代表的な薬害・公害について具体例を挙げ、その背景を説明できる。
医薬品GLP(医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準に関する省令)が制定されるに至った過程とその内容を説明できる。
13 各論 医薬品GLP・ヒトへの外挿 医薬品開発の全体的な過程を説明できる。
動物実験(非臨床試験)の成績をヒトに外挿してヒトにおける反応を類推する過程であることを説明できる。
治験に関してヘルシンキ宣言が意図するところを説明できる。
医薬品創製における治験の役割を説明できる。
治験(第I、II、III相)および医薬品の市販後調査の内容について説明できる。
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