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衛生薬学1  [Hygienic Sciences 1]

開講情報
2年次 前期 1.5単位 必修
担当教員
准教授 佐久間 覚    
備考
授業の目的と概要
 環境中に拡散した化学物質に対する安全性への一般の関心は高い。それゆえ汚染化学物質から生命を衛る(まもる)ための、科学的根拠に基づいた回避方策を思考できるようになるために、汚染化学物質の中毒症状、毒性発現機構、評価方法などの基礎知識を修得することは極めて重要なことである。すべての化学物質は、生物群集と無機的環境から成る生態系で単純な化学形態と複雑な化学形態との間を無数の変化の過程を経て循環している。この循環システムのなかで、生物濃縮や食物連鎖を通して、人を含めた地球上に住むあらゆる動植物が汚染化学物質により悪影響を受ける。人の健康を維持・増進するためには、医薬品、農薬、溶剤などさまざまな化学物質の人体への直接的影響を防ぐだけでなく、地球上に住むあらゆる動植物が汚染化学物質の影響を回避して生物の多様性を確保し、正常な生態系の循環システムが構築されつづける必要がある。本講義では、汚染化学物質の生体への影響を説明できるだけでなく、地球環境の責任を個人の問題としても捉えることができるようになり、生活環境をより良くする方策を立案し、実践できるようになることが目標である。
●一般目標(GIO)
 有害な化学物質などの生体への影響を回避できるようになるために、化学物質の毒性などに関する基本的な知識を修得し、これに関連する基本的技能と態度を身につける。
●到達目標(SBOs)
1.生態系の構成員を列挙し、その特徴と相互関係を説明できる。
2.食物連鎖を介した化学物質の生物濃縮について具体例を挙げて説明できる。
3.代表的な有害化学物質の吸収、分布、代謝、排泄の基本的なプロセスについて説明できる。
4.第一相反応が関わる代謝、代謝的活性化について概説できる。
5.第二相反応が関わる代謝、代謝的活性化について概説できる。
6.発がん性物質などの代謝的活性化の機構を列挙し、その反応機構を説明できる。
7.変異原性試験(Ames試験など)の原理を説明し、実施できる。(知識・技能)
8.発がんのイニシエーションとプロモーションについて概説できる。
9.代表的ながん遺伝子とがん抑制遺伝子を挙げ、それらの異常とがん化との関連を説明できる。
10.化学物質の毒性を評価するための主な試験法を列挙し、概説できる。
11.肝臓、腎臓、神経などに特異的に毒性を示す主な化学物質を列挙できる。
12.重金属、農薬、PCB、ダイオキシンなどの代表的な有害化学物質の急性毒性、慢性毒性の特徴について説明できる。
13.重金属や活性酸素による障害を防ぐための生体防御因子について具体例を挙げて説明できる。
14.毒性試験の結果を評価するのに必要な量-反応関係、閾値、無毒性量(NOAEL)などについて概説できる。
15.化学物質の安全摂取量(1日許容摂取量など)について説明できる。
16.有害化学物質による人体影響を防ぐための法的規制(化審法など)を説明できる。
17.環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)が人の健康に及ぼす影響を説明し、その予防策を提案する。(態度)
18.代表的な中毒原因物質の解毒処置法を説明できる。
授業の方法
教科書およびプリントを中心に講述する。
●準備学習や授業に対する心構え
あらかじめ提示する各回の講義内容に関する教科書記載部分等を利用して、予習を毎回1.5時間程度は行い、講義中にしっかり内容を把握、理解できるようにすること。また、内容的に節目となる3〜4回の講義ごとに、授業内容を纏め復習すること(3時間程度)。それ以外に、環境に関する記事などに目を通し、汚染化学物質の現況を把握したり、学習意識を高めるように努めておくこと(週1時間程度)。
●オフィス・アワー 
月〜金曜日の昼(12:10〜13:10)、それ以外は適宜。場所はB棟3階、環境分子生理学研究室
成績評価法
定期試験(90%)および授業への出席状況(10%)により総合的に評価します。
教科書
書名 著者名 出版社名
『考える衛生薬学』 伊藤誉志男、鈴木和夫、平山晃久 廣川書店
参考書
書名 著者名 出版社名
『国民衛生の動向』 財団法人厚生統計協会(編集) 財団法人厚生統計協会発行
『環境白書』 環境省(編集) 全国官報販売協同組合発売
授業計画
項目 授業内容
1 生態系の循環システムと汚染化学物質(概説) <対応SBOs;1,2>
汚染化学物質による暴露の可能性や毒性発現の危険性は、生態系の循環システムを介した化学物質の食物連鎖や生物濃縮と密接に関係していることを概説する。
2 有機化学物質の毒性 <対応SBOs;11,12>
農薬
3 有機化学物質の毒性 <対応SBOs;11,12>
揮発性有機化学物質(溶剤)
4 有機化学物質の毒性 <対応SBOs;11,12,17>
ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン類、多環芳香族炭化水素、内分泌かく乱化学物質
5 無機化学物質の毒性 <対応SBOs;11,12>
水銀、カドミウム、鉛、クロム、ヒ素
6 化学物質の安全性評価と規制 <対応SBOs;10,14,15>
化学物質の量-反応曲線、最大無毒性量、1日許容摂取量、耐容1日摂取量、実質安全量
7 化学物質の安全性評価と規制 <対応SBOs;16>
化審法
8 化学物質の代謝・代謝的活性化(概説) <対応SBOs;3>
有害化学物質の吸収、分布、代謝、排泄の基本的プロセスを概説する。
9 化学物質の代謝・代謝的活性化 <対応SBOs;4>
第一相反応が関わる代謝、代謝的活性化
10 化学物質の代謝・代謝的活性化 <対応SBOs;5>
第二相反応が関わる代謝、代謝的活性化
11 化学物質による発がん
<対応SBOs;6,7,8,9>
発がんのイニシエーションとプロモーション、変異原性試験、代表的な発がん遺伝子・発がん抑制遺伝子
12 活性酸素と化学物質の有害作用 <対応SBOs;13>
化学物質による活性酸素・フリーラジカルの発生機序
13 活性酸素と化学物質の有害作用 <対応SBOs;13>
活性酸素・フリーラジカルによる障害に対する生体内防御因子
14 化学物質による中毒と処置 <対応SBOs;18>
化学物質の中毒症状、解毒処置法
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