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社会薬学1  [Social Pharmacy 1]

開講情報
3年次 後期 1.5単位 必修
担当教員
教授 松島 哲久    
備考
授業の目的と概要
 現代の医療の課題として、その科学的側面と同時に、人間の立場からの医療ということが不可欠の課題として挙げられます。その両面とも、歴史的、哲学的視点からの考察を必要としますが、とりわけ、生命倫理的諸問題についての根本的理解が現代医療に携わるものにとって必要不可欠です。その観点から次の諸問題について講義を行います。
 まず医療の目的とは何かということを考察し、現代医療において何が求められているのかを、生命倫理学的観点からテキストに沿って講義をします。その際に問われなければならないのは病(illness)を通しての人間理解です。このことと関連して医学の方法論が生物機械論的方法論だけでは不十分で、全人医療的・解釈学的方法の導入が必要とされていることに言及します。次にこのような医学的人間学的理解のもとに医療者―患者関係がどのようなものであるべきかを講義します。ここで問われるのが医療倫理の根本からの見直しの作業です。従来の医師中心の医療システム(DOC)から患者中心の医療システム(POS)への転換のなかで、患者の自律性を重んじ、その個人としての人格の尊厳に医療の根拠を置いて、患者の多様な人生目標、人生計画、価値観に基づくさまざまなニーズに応えていくことが、現在薬剤師にとって要請されているということを中心に講義を行います。
 最後に、環境薬学的側面における倫理の問題に触れます。さまざまな化学剤による環境汚染の問題、熱帯雨林の消滅による貴重な医療資源の喪失、そして南北問題による第3世界における医療の貧困化の問題など、現代における医療倫理の問題は広く地球規模の視野から考察されなければならないこと、また現代社会におけるさまざまな差別の問題が医療の中で先鋭的に現れていることにも注意が払われなければならないことを講義します。
●一般目標(GIO)
(1)生命・健康に関わる職業人となることを自覚し、それにふさわしい行動・態度をとることができるようになるために、人との共感的態度を身につけ、信頼関係を醸成し、さらに生涯にわたってそれらを向上させようと努力することができる態勢を確立する。
(1)−1 人間の生命の尊厳を認識し、生の始まりから終わりにいたるまでの医療における生命倫理問題を理解し、その重要生を自覚し、自ら研究する態度を身につける。
(1)−2 常に社会に目を向け、生涯にわたって医療を通して社会に貢献できるようになるために必要な知識を身につけ、さらにそのような目的に向かって努力できる心の態勢を確立する。
(2) 医療の担い手の一員である薬学専門家として、患者、同僚、地域社会との信頼関係を確立できるようになるために、相手の心理、立場、環境を理解するための基本的知識、技能、態度を修得する。
(3)薬の専門家として必要な基本姿勢を身につけるために、医療、社会における薬学の役割、薬剤師の使命を知り、どのように薬学が発展してきたかを理解する。
●到達目標(SBOs)
授業計画の授業内容に各一般目標に対応する到達目標を明記する。
授業の方法
その都度、関連プリントを配付しながら教科書を中心に講義を行う。講義の前には生命倫理に関連したプレテストを行い、講義前の学生諸君の既得知識を確認する。
●準備学習や授業に対する心構え
特に準備は必要はないが、講義の後に、毎回ではないが授業に関する小レポートを提出してもらうことがあるので、そのつもりで出席すること。また、講義に関連した事項について各自の関心にしたがって研究を進めることが重要である。
●オフィス・アワー 
月曜日12:10〜13:10;16:30〜18:00(会議がないとき)
火曜日12:10〜13:10;15:00〜16:00(できるだけ予約をしてください。研究室前の連絡袋/メールで。)
メールアドレス:matusima@gly.oups.ac.jp
成績評価法
筆記試験および出席状況、レポートを総合して評価を行う。
教科書
書名 著者名 出版社名
『ヒューマニズム・薬学入門』 日本薬学会 (編) 東京化学同人
参考書
書名 著者名 出版社名
『資料集 生命倫理と法』 内山雄一 (編集監事) 太陽出版
授業計画
項目 授業内容
1 医療の目的と病の人間理解 (1)-1-1予防、治療、延命、QOLについて説明できる(病因論、チーム医療、EBMなど)。
2 生命倫理の理論と実際(1) (1)-1-2人の誕生、成長、加齢、死の意味を考察し、討議する(生と死のケア、パーソン論、人間の生命の尊厳など)。
3 生命倫理の理論と実際(2)  (1)-1-3人の誕生に関わる生命倫理問題(生殖医療、クローン技術、出生前診断など)の概略と問題点を説明できる。
4 生命倫理の理論と実際(3) (1)-1-4医療に関わる生命倫理問題を列挙し、その概略と問題点を説明できる(医療者−患者関係の倫理、真実の告知、プライバシー権など)。
5 生命倫理の理論と実際(4) (1)-1-5人の死に関わる生命倫理問題(安楽死・尊厳死・脳死・臓器移植など)の概略と問題点を説明できる。
6 生命倫理の理論と実際(5) (1)-1-6事例と自らの体験を通して、人間の生命の尊厳と医療の関わりについて論点を展開できる(死の受容など)。
7 先進医療と生命倫理 (1)-1-7医療の進歩(遺伝子診断・治療、再生医療、難病治療など)に伴う生命観の変遷を説明でき、その倫理を理解することhができる。
8 新薬の開発と医療倫理(1) (1)-2-1創薬の立場から社会のニーズに対応する方法を提案できる(動物実験と非臨床試験の倫理、GLP、臨床試験とGCP、実験医療と被験者保護など)。
9 新薬の開発と医療倫理(2) (1)-2-2創薬の立場から医薬品の製造と市販後調査とその倫理、PL法などを説明できる。
10 医学研究の倫理と患者の権利 (1)-2-3医学研究の倫理、医療の担い手が遵守すべき倫理規範、法、患者の基本的権利について説明できる(ヘルシンキ宣言、リスボン宣言、インフォームド・コンセントなど)。
11 薬剤師のコミュニケーションスキル (2)患者の心理状態を把握・配慮し、適切に対応できる(患者ケアとリスニングスキル、アサーション、キューブラー=ロスの理論など)。
12 薬害と患者の生の声を聴く (3)-1薬害の歴史とその背景を説明でき、患者保護の視点を提案できる。
13 環境薬学と倫理 (3)-2環境汚染における薬学専門家の責任の重さを自覚し、生命と環境と医療の新しい考え方を提示できる。
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