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薬用植物園

Vol.14

花の拡大写真で、薬用植物を紹介していきます。写真をクリックすると大きく表示されます。

カワラナデシコ  
カワラナデシコ(ナデシコ科)
Dianthus superbus var. longicalycinus
本州、四国、九州に分布する多年生草本で、草丈は30〜100cmぐらいになる。5弁の花弁のふちは深く糸状に分裂する。秋の七草のひとつ。別名は大和撫子(やまとなでしこ)で外来種(セキチク:唐撫子)と区別した。また、「可憐で美しい日本女性」に譬えられ、最近では、女子サッカーの「なでしこジャパン」の活躍でこの花の名前をよく耳にする。薬用部位は種子で、瞿麦子(クバクシ)と呼び、消炎利尿や通経薬として用いる。一方、中国では開花時の全草を用いる。成分はトリテルペン系サポニンを多く含む。


キキョウ(キキョウ科)
Platycodon grandiflorum
 
キキョウ
日本全土の日当たりの良い山野の草原に自生する多年生草本。草丈は40〜100cm。5枚の花弁が合着した広鐘形。蕾は花冠の先で閉じられ、風船玉状になる(英名は、balloon flower)。秋の七草のひとつ(「あさがお」と詠まれている)。薬用部位は根で桔梗(または桔梗根)と呼び、痰きりの妙薬で、去痰薬として利用される。一方、排膿薬として、桔梗湯や小柴胡加桔梗石膏などの漢方薬に配合される。含有成分はプラチコジン類のトリテルペン系サポニン。また、根の貯蔵成分はデンプンではなくイヌリン。


アメリカキササゲ  
アメリカキササゲ(ノウゼンカズラ科)
Catalpa bignonioides
北アメリカ東部原産の落葉高木で、高さは10 mを超える。明治時代に導入されたとされ、公園や学校などに植栽されているのをよく見かける。日本では、利尿薬として利用されるキササゲ (Vol. 9参照)が古い時代に中国から渡来したといわれて、日本各地で栽培され、自生も見られる。キササゲとひとまわり大きいアメリカキササゲは東アジアと北アメリカ東部に隔離分布している植物の例としてよく知られている。アメリカでも民間的に利尿薬として利用されている。


クガイソウ(ゴマノハグサ科)
Veronicastrum sibiricum
 
クガイソウ
本州の山地に分布する多年生草本で、草丈は約1 mになる。名前は九階草で、輪生した葉が茎に層をなしている様子に由来する。薬用部位は根茎で、民間的に利尿や消炎作用を期待して、リウマチや関節炎に用いられる。成分は、イリドイド系化合物やイソフェルラ酸の糖エステルなど。


ショウブ  
ショウブ(ショウブ科)
Acorus calamus
日本各地の沼や沢のほとりに自生する多年生草本で、根茎が発達し、太くて節が多い。強い匂いが邪気を払うと考えられ、端午の節句には無病息災のために使われたり、お風呂に入れて薬湯にしたりと、古くから日本の民間で様々なかたちで利用されてきた。薬用部位は、根茎で菖蒲根(ショウブコン)と呼び、健胃薬とする。また、神経痛やリウマチの入浴料として使われる。さらに、葉も入浴料として利用される。成分はオイゲノールなどの精油を含む。一方、ハナショウブとよく混同されるが、ハナショウブはアヤメ科の植物で芳香も無い。


シロバナムシヨケギク(キク科)
Chrysanthemum cinerariaefolium
 
シロバナムシヨケギク
バルカン半島のダルマチア地方原産の多年生草本。蚊とり線香でおなじみの植物で、日本では1887年に栽培が始まり、戦前は世界一の生産国となり、その9割を輸出していた。薬用部位は頭花で、除虫菊花(ジョチュウギクカ)と呼び、殺虫剤とする。茎葉は蚊取線香の原料。有効成分は、ピレトリンで昆虫に対して麻痺を起こさせ、運動不能にさせる。人に対しては無害。


オトギリソウ  
オトギリソウ(オトギリソウ科)
Hypericum erectum
日本各地の山地や丘陵地に自生する多年生草本で、草丈は50〜60cm。葉に黒い油点がある。また、がく片や花弁にも多数の黒点があり、特に縁に多い。古くから全草のしぼり汁を傷薬として利用してきた。成分はタンニンを多く含み、外用薬としては効果があり、安全性も高い。一方、ヨーロッパに分布するセイヨウオトギリソウ H. perforatum(英名:St John's Wort)は、うつ状態や不眠の改善のためのサプリメントとして利用される(ドイツでは医薬品)が、ワーファリンなどの医薬品の効果を低減する薬物相互作用が問題となっており注意が必要である。


2011年8月18日掲載




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