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薬用植物園

Vol.2

4月からは、多くの薬用植物が花を咲かせ始めます。花の拡大写真で、薬用植物を紹介していきます。
写真をクリックすると大きく表示されます。


アンズ  
アンズ(バラ科)
Prunus armeniaca var.ansu
中央アジア原産の落葉高木。日本には果樹として伝わり、長野県や山梨県などで特に多く栽培される。その果実は生食される。またドライフルーツやジャム、果実酒に加工される。さらに、種子は杏仁豆腐の原料。薬用部位は種子で、杏仁(キョウニン)と呼び、鎮咳去痰効果を示す。麻黄湯や麻杏甘石湯などの漢方薬に配合される他、咳止め薬のキョウニン水の原料となる。含有成分は、青酸配糖体であるアミグダリン。


モモ(バラ科)
Prunus persica
 
モモ
中国原産の落葉高木。中国では4000年以上も前から栽培されている。日本には、弥生時代以前に伝わったとされている。果実は生食するが、薬用部位は、種子で、桃仁(トウニン)と呼び、消炎・鎮痛などの効用を示す。漢方薬では、桃核承気湯や桂枝茯苓丸などに配合される。杏仁と同様に、青酸配糖体であるアミグダリンを含有する。また、花は白桃花という生薬で、下剤となる。さらに、民間的に葉は湿疹などに良いとされ、入浴剤(桃葉湯)などに利用される。


カリン  
カリン(バラ科)
Chaenomeles sinensis
カゼを引くと葛湯や生姜湯で身体を温めたように、咳には、カリン酒やカリンの砂糖漬けと古くから民間的に使用されている。その黄色い果実は、だれもが知っているであろう。花も可憐で美しい。カリンは、バラ科の落葉高木。薬用部位は果実で、木瓜(モッカ)とよび、鎮痙、鎮咳、利尿薬とされる。ボケやクサボケの果実も木瓜と呼び、同様に使われる。


コブシ(モクレン科)
Magnolia kobus
 
コブシ
シデコブシやキタコブシも含めて、日本原産の落葉高木。春先、山野を歩くと大きな白い花をいっぱい付けた高木を目にするであろう。コブシの名前の由来はその果実(袋果)が握り拳(こぶし)に似ているため。薬用部位は、開花直前の蕾で、辛夷(シンイ)と呼び、消炎を目的に鼻疾患などに用いられる。漢方薬では、辛夷清肺湯などに配合される。


タツタソウ  
タツタソウ(メギ科)
Jeffersonia dubia
1属2種。朝鮮半島北部から中国東北部に分布する多年生草本。薬用部位は根および根茎で、鮮黄連(センオウレン)と呼び、苦味健胃薬として使用される。一方、北アメリカには、Jeffersonia diphyllaが隔離分布しており、チェロキー族は痛みや炎症に湿布薬として使用し、イロコイ族は下痢の治療に使用したという記録が残っている。このように、かけ離れた地にある共通植物を同じような治療に利用した例である。


ハシリドコロ(ナス科)有毒
Scopolia japonica
 
ハシリドコロ
日本原産の多年生草本。春先にやわらかい茎と葉を山菜と間違えて食べると、中毒や幻覚をおこし走り回ることが和名の由来である。根および根茎をロート根と呼び、医薬品原料に使用される。成分は、ヒヨスチアミンやスコポラミンなどのアルカロイドで、強い副交感神経遮断作用を示す。これらの成分は、チョウセンアサガオやエンジェルトランペットなどの園芸種にも含まれており、注意が必要である。


ボタン  
ボタン(ボタン科)
Paeonia suffuruticosa
中国原産の落葉低木。和名は漢名の「牡丹」の音読み。空海が中国から持ち帰ったという説があり、長谷寺や当麻寺のボタンが有名である。花の色は、赤紫(原種)、赤、白など多数。薬用部位は根の皮で、牡丹皮(ボタンピ)と呼ばれ、消炎や血流改善効果を示し、月経不順や月経困難などに用いられる漢方薬に配合される(大黄牡丹皮湯や桂枝茯苓丸など)。含有成分はペオノールとそれらの配糖体。


テンダイウヤク(クスノキ科)
Lindera strychnifolia
 
テンダイウヤク
中国中部原産の常緑低木。秦の始皇帝に命じられ不老長寿薬を求めた徐福が、本植物を求めて、熊野灘に上陸したという伝説がある(和歌山新宮市に徐福公園がある)。薬用部位は肥大した根で、烏薬(ウヤク)または天台烏薬(テンダイウヤク)と呼び、下腹部の痛みの治療や健胃を目的として使用される。この植物が不老長寿薬になるかどうかはわからない。本園でも、たくさんのテンダイウヤクが垣根として植栽されている。

2010年5月20日掲載




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