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薬品作用解析学研究室

教授 大野 行弘 (医学博士)

担当科目 機能形態学1(1年)、機能形態学2(2年)、
薬理学3(3年)、 医薬品安全性学(4年)、
薬理学実習(3年)、薬理学特論(大学院)、
医療薬学総論(大学院)、病態薬理学特論I(大学院)、
病態薬理学特論II(大学院)
所属学会 日本薬学会、日本薬理学会、日本神経精神薬学会、
日本毒性学会、 日本てんかん学会、日本神経科学学会、
国際神経精神薬理学会(CINP)
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講師 河合 悦子 (博士(薬学))

担当科目

薬学英語(4年)、薬理学実習(3年) 、
薬理学特論(大学院)

所属学会 日本薬学会、日本薬理学会、日本毒性学会、日本腎臓学会
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助教 清水 佐紀 (博士(薬科学))

担当科目 薬理学実習(3年)
所属学会 日本薬学会、日本薬理学会、日本神経精神薬学会、
日本毒性学会、日本神経科学学会
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配属学生

【大学院生】   2名
【特別研究学生】   2名 (京大大学院医学研究科および和歌山医大大学院より)
【学部学生】   6年次生:17名、5年次生:17名

 

研究テーマ

新たな治療法開発を目指した医薬品の作用解析研究、病態研究

研究概要

 セロトニン、ドパミンなどの脳内モノアミンは、ヒトの精神機能や運動機能の調節に非常に重要な役割を果たしています。私たち研究室では、これら脳内モノアミン神経の機能に着目した薬理・病態研究に取り組み、精神神経疾患に対する新たな治療法の開発をめざしています。特に、統合失調症、うつ病、パーキンソン病、てんかん等の発症・治療に関わる新たな標的分子の探索と、その機能解析を行っています。また、医薬品の安全性評価研究として、各種の薬物による神経毒性や腎毒性の発症機序を調べ、その防御法について研究しています。主な研究テーマは以下の通りです。

  • ◆精神疾患(統合失調症、うつ病、不安障害、注意欠如/多動症など)の病態・薬物治療研究
  • ◆神経疾患(パーキンソン病、てんかん、本態性振戦など)の病態・薬物治療研究
  • ◆脳内ドパミンおよびセロトニン神経系の機能解析
  • ◆アストロサイト内向き整流性カリウムチャネル (Kir4.1チャネル)の機能解析
  • ◆シナプス小胞蛋白質2A (Synaptic vesicle glycoprotein 2A, SV2A)の機能解析
  • ◆中枢神経作用薬の薬理研究
  • ◆薬剤誘発性腎障害発症機序の解明

キーワード

 統合失調症、うつ病、不安障害、パーキンソン病、てんかん、ニューロン・グリア相互作用、シナプス分泌機構、
 腎不全

研究内容

(1)錐体外路系運動障害治療におけるセロトニン神経系の機能解明1-8)

 錐体外路系運動障害(動作緩慢、筋固縮、振戦、姿勢反射障害など)はパーキンソン病の中核症状であるとともに、統合失調症治療時の薬物副作用としても大きな臨床問題となっています。一方、最近のセロトニン(5-HT)研究の進展から、5-HT1A受容体の刺激や5-HT2A、5-HT3、5-HT6受容体の遮断効果が錐体外路系運動障害を改善することが明らかになってきました。現在、5-HT 受容体には14 種類のサブタイプが存在することが知られていますが、我々は、これら5-HT 受容体サブタイプの運動障害治療における役割とその機能メカニズムについて研究しています。5-HT 受容体の機能を解明することで、パーキンソン病や統合失調症に対する新たな治療法や創薬コンセプトを提案できると考えています。



(2)脳アストログリアK+チャネルKir4.1 の分子薬理研究および病態解析9-14)

 イオンチャネルは多くの疾患の原因分子として注目されています。このうち内向き整流性K+チャネルKir4.1 は脳のアストログリアに局在し、シナプス部で蓄積される過剰なK+イオンを除去することにより神経活動を調節しています(アストログリアの空間的K+緩衝機能)。これまでKir4.1 チャネルと神経疾患との関連については不明でしたが、私たちの研究を含めた最近の報告から、Kir4.1 がてんかん(けいれん発作)の発症に深く関与することや、抗うつ薬の作用発現(治療効果や副作用)に深く関わることがわかってきました。私たちは、アストログリアKir4.1 チャネルの生理病理学的な役割を解明するため、様々な疾患モデル動物を用いてKir4.1 チャネルの機能解析を進めています。



(3)シナプス小胞蛋白質SV2Aの機能解析と疾患治療への応用研究15-18)

 神経伝達物質のシナプス分泌機構の異常は様々な中枢神経疾患の発症と深く関わっています。シナプス小胞蛋白質2A Synaptic vesicle glycoprotein 2A(SV2A)は神経終末のシナプス小胞に特異的に発現している膜蛋白質であり、神経伝達物質の開口分泌機構を調節しています。これまで研究から、SV2A がてんかんの発症を制御することが示唆されてきましたが、その詳細な機能メカニズムは不明でした。私たちはSV2A をコードするSv2a遺伝子にミスセンス変異(L174Q)を導入した新たなモデル動物を開発することに成功し、このSv2aL174Qラットが高いけいれん感受性を示すことを見いだしました。これら動物の脳では、特に海馬や扁桃核と呼ばれる部位でGABA(抑制性神経伝達物質)の遊離機構が障害されており、これがてんかん発症促進の原因となっていることを明らかにしました。さらに、SV2Aの機能異常は情動・精神機能にも変化を及ぼす可能性があり、SV2Aの機能解析研究を通じて新たな精神神経疾患治療薬の開発を目指しています。

(4)新たな神経疾患モデルの開発と治療薬の作用解析研究14-22)

 “てんかん”をはじめとする多くの神経疾患は治療の難しい(難治性)疾患であり、有効性の高い新たな治療薬の開発が望まれています。私たちは、電気生理学的、神経化学的研究により抗てんかん薬の作用機序を明らかにすると共に、京都大学医学部と共同して”てんかん”原因遺伝子の探索や新たな疾患モデル動物の開発を進めています。これまでに、電位依存性Na+チャネルに変異を持つ新たな熱性けいれんモデル”Hiss ラット”や本態性振戦モデル”Tremor ラット”などの開発に成功しており、これら動物モデルを用いた治療薬探索研究の進展が期待されます。

脳波電極の慢性埋め込み

温浴刺激によるけいれん発現

 

(5)薬剤誘発性腎障害発症機序の解明

 腎臓はからだの恒常性を保つ上で重要な働きをしているが、薬による副作用を受けやすい臓器でもある。薬剤誘発性腎障害による急性腎障害発症における活性酸素およびマクロファージの役割を明らかにする一方で、急性障害からの修復機序についても検討を進めている。

参考文献

  1. 1)   Neuropharmacology, 55:717-723, 2008
    2)    Prog. Neuro-Psychopharmacol. Biol. Psychiatry, 32:1302-1307, 2008
    3)    Prog. Neuro-Psychopharmacol. Biol. Psychiatry, 34:877–881, 2010
    4)    Neuropharmacology, 60:201-208, 2011
    5)    Prog. Neuro-Psychopharmacol. Biol. Psychiatry, 38:252-259, 2012
    6)    CNS Neurosci. Ther., 17:58-65, 2011
    7)    Aging Dis., 4:1-13, 2013
    8)    Prog. Neurobiol., 134:104-121, 2015
    9)    J. Pharmacol. Exp. Ther., 320:573-580, 2007
    10)  Brain Res., 1178:44-51, 2007
    11)  Mol. Pharmacol., 75:1-9, 2009
    12) Brain Res., 1517:141–149, 2013
    13) Front. Cell. Neurosci.,7:104, 2013
    14) Ther. Targets Nrueol. Dis., 2:e476. 2015
    15) Biochem. Biophys. Res. Commun., 390:415-420, 2009
    16) Neurosci. Lett., 510:93-98, 2012
    17) Sci. Rep., 6:27420, 2016
    18) Front. Pharmacol., 7:210, 2016
    19) J. Neuroscience, 30:5744-5753, 2010
    20) Neurobiol. Dis., 41:261-269, 2011
    21) Brain Res., 1435:154-166, 2012
    22) Hum. Mol. Gen., 21:3546-3557, 2012

    23) PLoS ONE, 10:e123529, 2015

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