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生体機能解析学研究室

准教授 坂口 実 (博士(薬学))

担当科目 基礎細胞生物学(1年)、生物学実習(2年) 、
生物科学特論(大学院)、医療薬学総論(大学院)、
病態薬理学特論I(大学院)
所属学会 日本薬学会、日本生化学会
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助教 田中 智 (博士(薬科学))

担当科目 生物学実習(2年)
所属学会 日本薬学会、日本生化学会、日本薬理学会
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配属学生

【大学院生】   2名
【学部学生】   6年次生:17名、5年次生:14名


研究テーマ

細胞増殖阻害薬の作用メカニズムの解明と細胞の増殖・分化・死の機構解明

研究概要

 生体内では,細胞周期の制御機構によって秩序だった細胞の増殖が行われるように調節されていますが,この制御が混乱し無秩序に増殖するようになった細胞が癌細胞です.細胞周期制御に関与する因子群の活性調節機構を解析することで,細胞増殖メカニズムの解明および新しい抗癌薬や治療法の開発を目指して研究しています.また,細胞の生存や分化を助長し,細胞死を軽減する化合物の開発やそのメカニズムの解明は,様々な疾患の治療に応用できる可能性があります.培養細胞に及ぼす種々の化合物の影響を解析して,有用な化合物や因子を探索しています.

キーワード

組織培養,癌細胞,細胞の増殖・分化・死,細胞周期,エストロゲン合成酵素,ヒスタミンH3受容体,ヒスタミンH4受容体,プロテアーゼ

研究内容

(1) 乳腺癌細胞の増殖に対する薬物の効果とそのメカニズム

 乳癌にかかる日本人の数は年々増加しており,日本人女性では2000年に遂に胃癌を抜いて発生率第一位になりました. 一生のうちで乳癌になる人の割合(生涯疾患率)は4%であり,日本人女性の25人に1人という計算になります.そのうち,およそ6割の乳癌は女性ホルモンであるエストロゲンによって増殖するホルモン感受性の乳癌といわれています.したがってエストロゲン合成を阻害する薬物は乳癌の治療に有効です.我々は,エストロンやエストラジオールなどのエストロゲン生合成酵素に対する合成阻害薬の生化学的および細胞生物学的な活性評価を行っています.また,近年の研究では,乳癌の腫瘍悪性部分においてヒスタミン含量が高いことに加え,ヒスタミン受容体が多く発現していることが知られています.加えて,ヒスタミン受容体サブタイプのうちヒスタミンH3受容体が,乳癌細胞の増殖に関与していることも報告されています.これらのことから,我々はヒスタミンH3受容体に注目し,その拮抗薬が乳癌の増殖に及ぼすメカニズムについて解析しています.これら2つの研究は,本学の有機薬化学研究室との共同研究であり,乳癌の新しい治療薬の開発を目指しています.

(2) プロリルオリゴペプチダーゼ(POP)の生理的役割の解明とPOP阻害剤の癌治療への応用

 プロリルオリゴペプチダーゼ(POP)は,オリゴペプチド中のプロリンのカルボキシ側ペプチド結合を水解するセリン酵素です.このPOPは,広く体内に分布している酵素ですが,その主要な生理的役割はまだ解明されていません。本研究室では,腫瘍組織でPOP活性が高いという報告に着目して,細胞周期制御におけるPOPの機能解析を行い,POPは細胞周期進行を促進する因子であることを明らかにしています。一方,細胞がAra-Cなどの抗がん薬や活性酸素種のストレスを受けると,解糖系の酵素であるGAPDHが核内に移行してアポトーシスを誘導しますが,この過程でPOPとGAPDHが相互作用することも明らかにしています。本研究によって,癌細胞のPOP活性を調節することが新たながん治療法に発展するかもしれません.

(3) 細胞の生存や傷害の保護および分化促進活性を有する化合物の探索

 生体内の細胞は,様々な有害物質や疾病によって傷害を受けて死滅したり,あるいは異常に増殖したりします.このような細胞機能の異常を予防・軽減する物質は,健康の維持や,疾病の予防・治療に有用です.本研究は,生薬科学研究室との共同研究(生薬成分:カルコン)や日常摂取する機能性食品,サプリメント(α-リポ酸:Lipoic acid,LA)などについて,培養細胞の増殖・生存・分化・死に及ぼす影響を検討して,制癌作用や細胞死抑制作用また細胞機能を維持する効果を示すものを探索しています.

参考論文

  1. Tanaka S, Sakaguchi M, Yoneyama H, Usami Y, Harusawa S: Histamine H3 receptor antagonist OUP-186 attenuates the proliferation of cultured human breast cancer cell lines., Biochem. Biophys. Res. Commun., 480:479-485, 2016
  2. Suzuki K, Sakaguchi M, Tanaka S, Yoshimoto T, Takaoka M: Prolyl oligopeptidase inhibition-induced growth arrest of human gastric cancer cells., Biochem. Biophys. Res. Commun., 443:91-96, 2014
  3. Matsuda T, Sakaguchi M, Tanaka S, Yoshimoto T, Takaoka M: Prolyl oligopeptidase is a glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase-binding protein that regulates genotoxic stress-induced cell death., Int. J. Biochem. Cell Biol., 45:850-857, 2013

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