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  • 分子構造・機能解析学領域

生化学研究室

教授 福永 理己郎 (理学博士)

教授 福永 理己郎 (理学博士)

担当科目 分子細胞生物学(3年)、生物科学実習(3年)
生物科学特論(大学院)、
領域統合型先端科学特論(大学院)、
分子構造・機能解析学I・II・III(大学院)
所属学会 日本生化学会、日本分子生物学会、日本薬学会、
日本免疫学会
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講師 藤井 忍 (博士(薬学))

講師 藤井 忍 (博士(薬学))

担当科目 薬学英語(4年)、生化学1(1年)、
生物科学実習(3年)、生物科学特論(大学院)
所属学会 日本薬学会、日本生化学会、日本脂質生化学会
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助教 藤井 俊裕 (博士(理学))

助教 藤井 俊裕 (博士(理学))

担当科目 生物科学実習(3年)
所属学会 日本分子生物学会
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配属学生

【大学院生】   1名
【学部学生】   6年次生:15名、5年次生:17名

 

研究テーマ

生体内で働く酵素や情報伝達タンパク質の機能を分子レベルで解明する。

研究概要

生体内で重要な働きを果たす酵素や情報伝達タンパク質を対象に、その構造と機能、酵素反応機構、遺伝子発現機構などの研究を行っています。具体的には、血液細胞の増殖分化因子(造血サイトカイン)、タンパク質リン酸化酵素、リン脂質加水分解酵素とその阻害分子、ヘビ毒関連分子、生体防御や細胞ガン化に関与するタンパク質について、生化学・分子生物学・細胞生物学などの手法を用いて分子機能および生理機能の解明を目指します。

キーワード

G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、細胞内情報伝達、プロテインキナーゼ、ホスホリパーゼA2、スフィンゴミエリナーゼ、ヘビ毒、酵素反応速度論、阻害タンパク質、血清タンパク質

研究内容

(1)G-CSFによる好中球の増殖・分化・機能発現の分子機構の研究

粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は、骨髄球前駆細胞の増殖・分化を促進して好中球を産生するサイトカインです。G-CSFによる好中球産生の分子メカニズムを解明するために、G-CSF受容体の活性化に続いて起こる細胞内シグナル伝達と遺伝子発現制御について研究しています。具体的には,好中球分化に必須な役割を果たす転写因子であるC/EBPαがG-CSFによって活性化されるしくみを解明するために、 C/EBPαの翻訳後修飾やC/EBPαに会合するタンパク質について解析しています。また、炎症制御における好中球の役割を解明するために、活性化好中球が産生するサイトカインを探索・同定し、その作用機構を解析しています。

参考論文

  1. 1)J. Biol. Chem., 285:30214-30223, 2010
  2. 2)Genes Cells,13:313-327, 2008
  3. 3)Genes Cells, 12:581-592, 2007
  4. 4)J. Leukoc. Biol., 78:481-490, 2005
  5. 5)Cell, 74:1079-1087, 1993
  6. 6)Cell, 61:341-350, 1990


(2)MAPキナーゼ情報伝達系による細胞増殖・機能制御の分子機構の研究

MAPキナーゼカスケードは、増殖因子や細胞ストレスなどの刺激によって活性化される細胞内情報伝達系であり、細胞の増殖・分化や細胞機能の制御に重要な役割を果たしてます。私たちは,これらの情報伝達機構を解明するために、MAPキナーゼの標的タンパク質(生理的基質)を探索・同定して解析しています。私たちが発見したMnkはMAPキナーゼによって活性化されるプロテインキナーゼです。Mnkはタンパク質合成の翻訳開始を制御すると考えられており、その活性制御機構や生理機能の解析を進めています。また、MAPキナーゼによってリン酸化されるプロテインホスファターゼや新規タンパク質の分子機能や生理的機能の解析を進めています。

 

参考論文

  1. 1)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107:13984-13990, 2010
  2. 2)Genes Dev., 21:3232-3237, 2007
  3. 3)Genes Cells, 10:851-860, 2005
  4. 4)Mol. Cell. Biol., 24:6539-6549, 2004
  5. 5)EMBO J., 16:1921-1933, 1997


(3)リン脂質加水分解酵素の触媒機能の解明

私たちは、リン脂質加水分解酵素、特に、発痛物質であるプロスタグランジンの前駆体であるアラキドン酸の産生に係わるホスホリパーゼA2(PLA2)と、細胞のアポトーシスを誘導するセラミドの産生に係わるスフィンゴミエリナーゼ(SMase)を生体から精製、もしくは、大腸菌を用いた発現系を構築して精製し、酵素反応速度論に基づいて種々の実験を行いました。その結果、PLA2はHis48を触媒基とし、SMaseはHis296を触媒基とすることがわかりました。また、それぞれの酵素は、種々の金属イオンによって酵素活性が調節されていることを明らかにしました。今後は、これら2つの酵素の触媒機構を詳細に調べ、他のリン脂質加水分解酵素についても同様な研究を進める予定です。

PLA2の構造と触媒基

PLA2の構造と触媒基

 

SMaseと金属イオンとの相互作用
グラフ内のシンボルは実験値、
実線は上記の理論式に基づく理論曲線

参考論文

  1. 1)Arch. Biochem. Biophys., 436:227-236, 2005
  2. 2)Biol. Pharm. Bull., 26:920-926, 2003
  3. 3)Toxicol. Toxin Reviews, 17:279 – 313, 1998

(4)リン脂質加水分解酵素の低分子阻害剤による阻害機構の解明

PLA2と阻害物質の結合
PLA2と阻害物質の結合

リン脂質加水分解酵素は生体膜成分のリン脂質を加水分解し、種々の生理活性を持つ物質を産生します。このような反応過程を阻害する物質を見つけることができれば、抗炎症薬などの開発などにつながります。そこで、私たちは、PLA2やSMaseの阻害物質を探索する研究を行っています。実際にはPLA2の基質と類似した物質が酵素の基質結合部位に結合し阻害することを明らかにしました。


参考論文

  1. 1)J. Nat. Prod., 71:1089-1091, 2008
  2. 2)Tetrahedron Letters, 47:2627-2630, 2006

(5)ホスホリパーゼA2(PLA2)阻害タンパク質(PLI)の構造と阻害機構の解明

私たちの研究室では、マムシやハブなどの毒ヘビの毒液中に多量に含まれるPLA2を阻害するタンパク質を、毒ヘビ血液から精製し、構造的特徴および阻害の特異性が互いに異なる3種類の阻害タンパク質(PLIα、PLIβ、PLIγ)を見いだしました。そのうちPLIαはC型レクチン用ドメイン(CTLD)を持つ3量体構造を形成しており、1分子のヘビ毒II型酸性PLA2にこの3量体PLIαが結合することによってPLA2活性を阻害していることがわかりました。そこでこの結合様式を明らかにするため、PLA2・PLIα複合体を結晶化してその複合体の立体構造を明らかにしたいと考えています。

 

PLA2とPLIαの結合様式 PLIαのサブユニットの予想立体構造

PLA2とPLIαの結合様式

PLIαのサブユニットの予想立体構造

参考論文

  1. 1)Biochem. Biophys. Acta, 1804:2121-2127, 2010
  2. 2)Biochem. Biophys. Res. Commun., 395:377-381, 2010
  3. 3)Toxicon, 53: 685-692, 2009
  4. 4)Toxicon, 51:787-796, 2008
  5. 5)J. Biol. Chem., 280:37651-37659, 2005
  6. 6)J. Biol. Chem., 271:19469-19475, 1998
  7. 7)J. Biol. Chem., 266:1001-1007, 1991

(6)ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)の機能解明

私たちが毒ヘビ血液から発見したPLA2阻害タンパク質の一つであるPLIβは、ヒト血液中に存在する機能未知のタンパク質であるロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)とアミノ酸配列上の相同性が高いことから、LRGはPLA2阻害タンパク質ではないかと考えていました。しかし、マウス血液から精製したLRGにはPLA2阻害活性は見られず、ミトコンドリアの電子伝達体として機能するシトクロムcと特異的に結合すること、細菌感染などの急性炎症の際に急激に肝臓で発現する急性期タンパク質の一つであることなどがわかりました。LRGとPLIβの機能比較や、LRG遺伝子ノックアウトマウスの作製を介してLRGの生理的な機能について明らかにしたいと考えています。

 

参考論文

  1. 1)J. Biol. Chem., 285:21607-21614, 2010
  2. 2)Biochem. Biophys. Res. Commun., 395:377-381, 201

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