薬学紹介

薬学紹介 受験生向け研究室紹介

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  • 分子構造・機能解析学領域

薬品物理化学研究室

准教授 友尾 幸司 (博士(薬学))

担当科目 物理化学3(2年)、分子設計学、生物物理化学(4年)
物理・放射化学実習(2年)、 構造生物学特論(大学院)
領域統合型先端科学特論(大学院)
分子構造・機能解析学I,II,III(大学院)
所属学会 日本薬学会、日本生化学会、日本結晶学会
日本蛋白質科学会
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准教授 尹 康子 (博士(薬学))

准教授 尹 康子 (博士(薬学))

担当科目 化学・化学演習(1年)、物理化学3(2年)、
物理・放射化学実習(2年) 構造生物学特論(大学院)
分子構造・機能解析学I,II,III(大学院)
所属学会 日本薬学会、日本ペプチド学会
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配属学生

【大学院生】   0名
【学部学生】   6年次生:15名、5年次生:14名

 

研究テーマ

創薬をめざした生体分子の構造機能解析

研究概要

 近年、体内で働く分子の構造決定が盛んに行われ、生命の営みの機構が解明されると共に、多くの病気の原因解明と治療に役立つようになってきています。我々の研究室では、体内で非常に重要な働きを持つ幾つかの分子に着目して、その立体構造と働きの関係を解明し、それらが関係する病気の治療薬の開発に取り組んでいます。

キーワード

アルツハイマー型認知症、タウ蛋白質、翻訳開始因子、ABC トランスポーター、酵素阻害剤、分子設計、分子間相互作用、X線結晶構造解析、NMR 溶液構造解析、スペクトル解析、分子動力学計算

研究内容

(1) 蛋白質生合成開始因子eIF4EによるmRNAキャップ認識機構とその機能制御機構の解明

 ヒトのような真核生物において、遺伝情報を基にタンパク質が合成される過程を翻訳といいます。
翻訳開始因子4E(eIF4E)は、mRNAのキャップ(m7G)構造に特異的に結合し、他の因子であるeIF4G、eIF4AやeIF4Bなどと共に翻訳反応の開始に非常に重要な役割を果たしています。eIF4Eの働きは、通常4E結合タンパク質(4EBP)がeIF4Eに結合することにより制御を受けております、当研究室では、eIF4Eと4EBPペプチドとの複合体の結晶構造解析に成功するなど、eIF4Eを中心とした翻訳開始反応機構と、4EBPによる反応制御機構についてX線結晶構造解析などの手法を用いて原子レベルでの解明をめざして研究を進めています。

真核生物における翻訳開始反応 eIF4Eと4EBPペプチド複合体の立体構造

真核生物における翻訳開始反応

eIF4Eと4EBPペプチド複合体の立体構造

(2) タウ蛋白質の自己重合機構の解明と阻害低分子の開発

 微小管結合蛋白質の一つであるタウは、過剰なリン酸化により自己重合を起こし、不溶性の繊維状蓄積物を形成します。これは、アルツハイマー型認知症の病理学的所見の一つであることから、タウの異常重合と認知症発症との関連について大きな関心が持たれています。当研究室では、タウ分子に着目し、蛍光やCD等の分光学的解析、X線、NMR、分子動力学計算による立体構造解析や電子顕微鏡を用いて自己重合の解析を進めています。更に、これらの知見を基に認知症治療薬の開発を目指して、食物中から重合阻害物質の探索を行い、ある種のポリフェノールに非常に強い重合阻害作用を有することを突き止めました。

タウタンパク質の異常凝集機構 ポリフェノール添加によるフィラメント形成阻害

タウタンパク質の異常凝集機構

ポリフェノール添加による
フィラメント形成阻害

(3) 放線菌におけるキシロオリゴ糖細胞内輸送機構の解明(微生物学研究室との共同研究)

 好熱性放線菌Streptomyces thermoviolaceus OPC-520株由来遺伝子中には、キシロオリゴ糖の輸送および分解に関与するbxl遺伝子群が存在します。その遺伝子産物としては、糖結合タンパク質であるBxlE、膜タンパク質であるBxlFおよびBxlG、そしてβ-xylosidaseであるBxlAがあります。自然界において、セルロースに次いで再生利用可能な資源として多く存在するキシランは、酵素によってキシロオリゴ糖に分解された後、BxlEと結合し、BxlF/BxlG複合体に受け渡されて細胞内に運ばれ、BxlAによってxyloseにまで加水分解されると考えられています。本研究は、上記放線菌由来Bxlタンパク質群の立体構造を明らかにし、キシロオリゴ糖の細胞内輸送機構を原子レベルで明らかにすることを目的としています。

xlE-xylobiose xlE-xylobiose 複合体の立体構造

xlE-xylobiose

複合体の立体構造

(4) 酵素阻害剤の分子設計

 生体反応の維持に不可欠な酵素は、その機能の異常亢進によって重篤な疾病を引き起こします。それゆえ、標的酵素に選択特異的な低分子阻害剤を開発することは、その疾病治療に重要です。研究室ではトリプシンを始めとするセリンプロテーアーゼ、パパインやカテプシンなどのセリンプロテアーゼに対する阻害剤を分子設計しています。これまでにカテプシンBの立体構造の解析から、その基質結合ポケットの特異性を明らかにして、それにジャストフィットする阻害分子を設計し、その結果として、選択特異的な阻害剤としてCA074(IC50=2nM)の開発に成功しています。このように、種々の構造生物学的、構造化学的手法を駆使して、生体内で重要な役割を果たしている酵素構造を明らかにし、それに特異的な阻害分子の開発に取り組んでいます。

CA074 カテプシンB?CA074複合体 基質結合部位での阻害様式
CA074
(PrnNH-tES-Ile-Pro-OH)
カテプシンB-CA074複合体 基質結合部位での阻害様式

参考文献

  1. (1) J. Biochem. 147, 405-414 (2010)
  2. (2) FEBS Lett. 584, 4233-4236 (2010)
  3. (3) BBRC. 385, 236-240 (2009)
  4. (4) FEBS J. 275, 1529-1539 (2008)
  5. (5) Acta Cryst. F63, 560-562 (2007)
  6. (6) J. Mol. Biol. 362, 979-993 (2006)

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