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土井 勝教授が素粒子メダルを受賞

 本学の土井 勝教授(総合科学系自然学グループ)が、ニュートリノの理論的研究に対し、「第12回素粒子メダル」を受賞しました。授賞式は日本物理学会2012年秋季大会(於:京都産業大学)において行われ、メダルと賞状が授与されました。

 

《解説》ニュートリノは、原子核がベータ崩壊する際に放出される素粒子として、1930年にその存在が予言されました。しかしニュートリノは、質量が極めて小さく電気も持たないために検出が難しく、他の新種の素粒子の本性が次々解明される中で、今も謎に満ちた粒子です。ようやく近年、ニュートリノに3種類あること、ニュートリノ振動の発見によりゼロでない質量を持つことが明らかになりましたが、質量の詳細はまだわかっていません。
 質量の期限に関連してニュートリノについて解明しなければならない大問題の一つに、ニュートリノはディラック型(電子と陽電子のように粒子と反粒子の対となるもの)とマヨラナ型(中性中間子のように対となる粒子がないもの)のいずれであるか、があります。それを解明する手段は原子核のダブルベータ崩壊(ベータ崩壊が同時に2つ起こる現象)で、ニュートリノを放出しないダブルベータ崩壊が起こればマヨラナ型、決して起こらなければディラック型と結論されます。
 一方、私たちが住む宇宙では、粒子(電子や陽子)が圧倒的で、反粒子(陽電子や反陽子)はほとんど存在しません。宇宙が持つ粒子と反粒子の非対称性に、CPの破れが本質的な役割を演じていると考えられています。
 受賞対象となった論文(CP violation in Majorana neutrinos, 1981年)において、ニュートリノがマヨラナ型の場合には、ディラック型の場合より、CPの破れを表す位相の数が多いことを発見しました。マヨラナ型に特有なCP位相は、ニュートリノ振動では観測できず、ニュートリノを放出しないダブルベータ崩壊のような過程でだけ観測可能なことが示されました。この研究は、ニュートリノ物理のその後の展開に重要な役割を果たしただけでなく、ダブルベータ崩壊に関する実験結果の解釈にも大きな影響を及ぼすものです。


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